第58回全日本吹奏楽コンクール
    平成22年10月23日(土) /愛媛県県民文化会館

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    大学の部

    1
    東関東 神奈川県 神奈川大学吹奏楽部 (指揮/小澤俊朗) ※2年連続39回目

    5/ヴァニタス (高昌帥)

    非常に正確な演奏で相変わらず技術の高さを見せてくれました。一つでも歯車が違うと崩壊する課題曲をここまできっちりと演奏できるのは素晴らしいと思います。ソリストも非常に秀逸でした。全般に言えることですが、オケピットステージがあがっていて、指揮台が本ステージとオケピの境界線あたりにセットされていました。木管セクションは指揮台に合わせてセッティングしてしまうと、本来の反響板の中に収まらなくなります。神大も木管金管のブレンドが感じられなかったように思いました。特に強奏時はひな壇の金管ばかりが聞こえていたのは残念。自由曲ではバンド全体が音のうねりを作っていて完成度の高い演奏だったと思います。2年連続23回目の金賞受賞、おめでとうございます。

    2
    九州 福岡県 福岡大学応援指導部吹奏楽団 (指揮/花岡金光) ※2年連続28回目

    1/「カルミナ・ブラーナ」より (C.オルフ/J.クランス)

    慎重なテナーサックスからスタートしましたが、冒頭のアンサンブルは主張が感じられなかったのが残念。サウンドは柔らかいですが、逆に輪郭がなく全体にぼんやりした演奏になっていました。長い課題曲ですが終始メリハリに欠けていました。自由曲ではサウンドが暗くて「歌」の表情に乏しかったようです。12分通しても譜面をただ追って淡々と演奏しているような印象を受けました。


    3
    北海道 札幌地区 札幌大学吹奏楽団 (指揮/今井敏勝) ※3出休明け8回目

    2/バレエ音楽「クエスト(審問)」より (W.ウォルトン/木村吉宏)

    落ち着いたテンポのマーチでしたが、全体的に推進力に欠けました。バランスが悪く聞こえてほしい旋律や対旋律が埋もれてしまい雑然とした演奏になっていました。自由曲もよく演奏されていますが、淡々としていて聞き手をひきつける魅力に欠けました。終曲部分あたりからバンドが響き始めましたが、最初からこの音が聞きたかったですね…。


    4
    西関東 埼玉県 文教大学吹奏楽部 (指揮/佐川聖二) ※3年連続19回目

    3/アダージョ・スウォヴィアンスキェ U (天野正道)

    非常に柔らかいサウンドが印象的。課題曲の冒頭では安定感抜群でハーモニーの美しさに安堵感さえ覚えました。各セクションのバランス良さは大学部門随一でしょう。自由曲は非常にまとまっていました。この手の曲は慎重になりすぎて、消極的な演奏になりがちですが、ソロをはじめ積極的な表現が音楽を生き生きとさせています、深く訴えかける演奏は感銘度の高いものとなりました。12回目の金賞受賞、おめでとうございます。


    5
    関西 京都府 立命館大学応援団吹奏楽部 (指揮/茶屋克彦) ※2年連続5回目

    1/カントゥス・ソナーレ (鈴木英史)

    どっしりとしたサウンドで安定感のある課題曲でした。音楽もよく流れていて特にTuttiでの素晴らしさは抜群です。欲を言えばこれに立命館ならでは味付けが欲しい気がしました。自由曲はスケールの大きい演奏でしたが、全体的にダイナミクスレンジが狭くメリハリがありませんでした。実力のあるバンドなら譜面を正確に演奏していればそれなりに聞こえてしまいますが、それでは全国大会では通用しないと思います。金賞の壁を乗り越えるには更にバンドとして何かを求めていって欲しいと思いました。


    6
    東海 静岡県 静岡大学吹奏楽団 (指揮/三田村健) ※2年連続9回目

    2/ハンガリー民謡「くじゃく」による変奏曲  (Z.コダーイ/森田一浩)

    課題曲のイントロはサウンドがまとまらないまま第1マーチに入ってしまいました。このバンドも木管セクションを前面にセットし過ぎで金管とのブレンドが感じられませんでした。テンポが若干早めだったせいか、全体的に落ち着きの無いマーチになってしまいました。自由曲は逆に落ち着きのある大人の演奏を聞かせてくれました。ハープ2台、チェレスタを加えて色彩感あるサウンドに仕上がっています。アンサンブルの力も十分にあり、曲へのアプローチは良かったと思います。


    7
    九州 福岡県 福岡工業大学吹奏楽団 (指揮/柴田裕二) ※3出休明け11回目

    5/波の穂 (長生淳)

    各セクションがクリアに聞こえ楽器の発音も良いと思いました。難しい曲をよくまとめていたと思います。個人的な好みでいえば、神奈川大学よりも福岡工業大の課題曲のほうがツボにはまりました。自由曲は最初はサウンドが硬かったですが、徐々に豊かに柔らかいものに変わっていきました。バランスも悪くないしかなりのレベルの演奏だと思いますが、このバンドの良さを引き出せる選曲では無かったと感じました。


    8
    関西 京都府 龍谷大学学友会学術文化局吹奏楽部 (指揮/若林義人) ※3出休明け15回目

    3/てぃーだ (酒井格)

    非常に面白いセッティングでした。明るいサウンドと積極的な表現でこの課題曲の良さを十分に引き出していた秀演だったと思います。自由曲でも変わらず、自在な指揮者の要望に奏者がしっかりと応えていました。2曲とも同じ題材をテーマにした選曲で、マイナスなのでは?と心配しましたが余計なお世話でした。「てぃーだ(太陽)」を表現し続け、コンクールを忘れさせるような12分間に会場は大いに沸きました。8回目の金賞受賞、おめでとうございます。


    9
    中国 岡山県 川崎医療福祉大学ウインドオーケストラハートフルウインズ (指揮/岩田俊哉) ※3年ぶり6回目

    4/リベレーション 〜我を解き放ち給え〜 (D.マスランカ)

    よくまとまったサウンドでドライブ感のあるノリの良いマーチでした。紙一重で落ち着きの無い部分もありましたが、美しいトリオを聞かせてくれました。自由曲は印象的な打楽器アンサンブルで始まり、聴衆をひきつけましたね。管楽器群も厚いサウンドで良かったのですが、曲の奇抜さに助けられた感もありました。フルートのソロ、好演でした。


    10
    北陸 石川県 金沢大学吹奏楽団 (指揮/澤江武史) ※3出休明け15回目

    1/カレイドスコープ〜ブルックの歌による5つの変奏曲 (P.スパーク)

    ピッチ、アインザッツ、アンサンブル・・・基本的な部分で合わないところが多く見受けられたのが残念。ソロ群や音の薄い部分でのアンサンブルが不安定で、この手の課題曲では致命的と思いました。また全体的にも詰めが甘いと感じました。自由曲は全曲に渡っての熱演は感じられましたが、メリハリがなく一本調子に終わってしまったようです。

    11
    東京 東京都 駒澤大学吹奏楽部 (指揮/上埜孝) ※3年連続22回目

    2/バレエ音楽「中国の不思議な役人」より (B.バルトーク/上埜孝)

    明るく安定したサウンドです。輪郭のあるクリアなサウンドがマーチによく合っていました。独特の味付けもしてあり、聞きなれた曲も新鮮に感じました。自由曲でも音楽の流れが秀逸で、良い意味での学生らしい若さが溢れた熱演でした。奏者に積極性があり、多彩な表情をもった役人だったと思います。終始、「駒澤サウンド」がホールを支配した秀演で、会場も大いに沸きました。3年連続20回目の金賞受賞、おめでとうございます。


    12
    東北 福島県 福島大学吹奏楽団 (指揮/井上龍郎) ※初出場

    4/紺碧の波濤 (長生淳)

    やさしいサウンドを持ったバンドで爽やかなマーチでしたが、トリオ以降は力みすぎでした。初出場での大舞台で緊張するのは当たり前ですが、全体的な統一感に欠けてしまったように聞こえました。自由曲では冒頭のチューバ、コントラバスのアンサンブルが合わずにスタートして、終始不安な空気がバンドを支配していたように見えました。後半からはまとまってきたようでした。難曲をよく吹いていると思いましたが、やはり譜面を音にしているだけの印象は拭えず、「音楽表現」までには至っていなかったように思いました。


    ※出場回数には、招待演奏、特別演奏を含んでおりません。四国は推薦団体なし。



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