第55回全日本吹奏楽コンクール
    平成19年11月4日(日) /長野県県民文化会館

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    職場の部

    1
    東京 東京都 東芝府中吹奏楽団 (指揮/上原 宏) ※初出場

    4/宇宙の音楽 (P.スパーク)

    朝一番の演奏ですがバンドがよく鳴っていました。Tuttiのサウンドは柔らかく豊かですね。旋律の表現が平板で一本調子だったのが残念。全体的に管楽器と打楽器のアンサンブルがかみ合っていないように聞こえました。トリオの後の急激なテンポダウン&アッチェルは、やりすぎの感がしました。自由曲の冒頭、ホルンソロは落ち着いていて好演でしたし、曲中の各ソリストも良い音で表情豊かで秀逸です。音楽が流れすぎでメリハリに欠けましたね。後半は息切れ気味でしたが、初出場で朝一番とは思えないほど堂々とした演奏だったと思います。


    2
    東海 静岡県 ヤマハ吹奏楽団浜松 (指揮/須川展也) ※2年連続33回目

    3/幸いの龍 (長生淳)

    重厚で安定感のあるサウンドでスタート。木管群はしなやかで艶のある音色が魅力的で、特にトリオが美しく秀逸でした。自由曲では緩急のある自在な音楽を聞かせてくれました。ソリストの質が高いですね。Tuttiでのサウンドは華やかというよりも、大人のいぶし銀の魅力といった印象です。流石に委嘱作品らしくアナリーゼもしっかりできており、曲を掌握しているような余裕が感じられました。職場部門の中では抜きん出た実力を見せつけ、3年ぶり27回目の金賞。昨年の雪辱を果たしました。


    3
    北海道 日胆地区 新日鐵室蘭吹奏楽団 (指揮/松下謙二) ※3出休み明け23回目

    4/吹奏楽のための神話〜天岩屋戸の物語による (大栗裕)

    26人という編成。小編成とはいえ金管群がTrp4人、Hr4人、Trb3人、Eup1人、Tub2人という充実していましたね。金管でしっかり骨組みを作って安定感を出してほしかったのですが、ピッチが危うい状況で不安定でした。表現にもどこか躊躇している様子があり全体的に中途半端で不完全燃焼のマーチだったように思います。自由曲「神話」は良い演奏でした。少ない人数でよく工夫された演奏で、フルート奏者が特に光っていましたね。打楽器は奏者が揃っているのですから、楽器も指定のものを使ってほしかったですね。課題曲同様、弱奏でのピッチの悪さが露呈していたのが残念です。


    4
    東北 宮城県 NTT東日本東北ウインドアンサンブル (指揮/中川祐二) ※2年連続3回目

    4/吹奏楽のための土俗的舞曲 (和田薫)

    17人という編成は今大会の最少人数でしょう。この人数で課題曲を演奏した努力は素晴らしいと思います。マーチでは旋律群のピッチの悪さが残念でした。木管はフルート1、クラリネット2、アルトサックス1の4名のみで、クラリネットのピッチが終始合っていなかったのはよろしくないですね。吹いた瞬間合ってませんでしたから、途中で合わせようとするくらいの機転を利かせて欲しかったです。自由曲も同様で少ない人数で工夫しているのはわかるのですが、木管のピッチに難ありでした。ここが良くなるだけでもずいぶんと印象は変わると思います。


    5
    九州 大分県 新日本製鐵株式会社大分製鐵所吹奏楽団 (指揮/斉藤哲哉) ※4年ぶり4回目

    3/「管弦楽のための協奏曲」より V. 終曲  (B.バルトーク/森田一浩)

    ピッチが不安定なので、Tuttiのサウンドにも魅力がありませんでした。マーチではビートに安定感が乏しく、躍動感に欠けたものになってしまいましたね。自由曲では一転、非常にしなやかで技術力を感じるクラリネットが印象的。木管セクション全体も生き生きとした音楽を聞かせてくれたように思います。それに比較すると金管セクションのフレーズ処理の荒さ、サウンドの荒さが目立ってしまったようです。全体的には音楽の流れが悪く、Tuttiでのバランスの悪さが露呈していました。


    6
    東関東 神奈川県 NEC玉川吹奏楽団 (指揮/稲垣征夫) ※3出休み明け28回目

    4/「スラブ舞曲 第2集」より  第9番、第10番、第15番 (A,ドヴォルザーク/近藤久敦)

    Tuttiのサウンドは豊かで柔らかく良いと思います。マーチは遅めのテンポによるものなのか、リズムが重く、推進力の乏しい演奏になってしまいました。スネアの音色などもサウンドに溶け込まず、マーチの要である打楽器セクションにキレがなかったようです。自由曲でも柔らかいサウンドでしたが、好みとしてはテンポ設定に難ありと感じました。この9、10、15番のチョイスであれば、「急−緩−急」とメリハリをつけるほうが魅力的です。3曲とも同じようなテンポでリズムが重く、舞曲という雰囲気にも乏しく、決め所や聞かせどころが不明瞭なまま終曲してしまった感があります。


    7
    関西 大阪府 阪急百貨店吹奏楽団 (指揮/飯守伸二) ※2年連続37回目

    1/歌劇「オベロン」序曲 (C.M.V.ウェーバー/飯守伸二)

    アナウンスが「阪神百貨店」と言ってしまいましたね。(その後、場内放送や表彰式でも数回訂正されましたが…。) マーチは軽快な雰囲気は十分に出ていましたが、荒さや雑な部分が多く見受けられました。かつての「マーチの阪急」といったようなオーラが全く無かったのが残念。自由曲では冒頭からのソロやソリが不安定で精細を欠きました。アンサンブルも噛み合わず、聞いているほうがヒヤヒヤしましたが、中盤あたりから徐々に持ち直しました。クラリネットの細かいパッセージはよく吹けていて音楽を引っ張っていたと思いますが、全体的には不満の残る演奏でした。5年ぶり22回目の金賞ではありましたが、不完全燃焼といった印象は拭えません。



    ※出場回数には招待演奏、特別演奏を含んでおりません。西関東・北陸・中国・四国支部は参加無し。


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