第55回全日本吹奏楽コンクール
    平成19年11月3日(祝・土) /長野県県民文化会館

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    大学の部

    1
    北海道 札幌地区 札幌大学吹奏楽団 (指揮/今井敏勝) ※2年連続6回目

    4/管弦楽組曲「第六の幸運をもたらす宿」より (M.アーノルド/瀬尾宗利)

    遅めのテンポで、大変丁寧な演奏ですが、躍動感がドライブ感に欠けています。マーチとしての推進力が感じられない演奏となってしまいました。自由曲は、第二曲の「ロマンティック・インターリュード」からスタート。情感豊かに歌いこまれていましたが、課題曲同様に流れが悪いと思いました。「ハッピーエンディング」ではTuttiでの強奏になるとバランスが崩れて金属的なサウンドになってしまったのが残念。Trpがバンドに溶け込まず異質な感じがしました。課題曲・自由曲ともにテンポ設定に難ありという印象です。

    2
    九州 福岡県 福岡教育大学吹奏楽部 (指揮/宇藤雄矢) ※3年連続6回目

    2/スターズ・アトランピック '96  I. 出会い II. 哀歌 III. 祝祭  (三善晃)

    学生指揮者です。大変よくまとまったマーチで、小細工のない伸びやかな表現に好感がもてました。自由曲はアンサンブルするのが難しい曲ですが、管楽器と打楽器がよく合っていたと思います。ソロ群は無難にこなしていましたが、表情に固さがみられたのが残念です。3曲目の一体感が素晴らしく、よくまとまった演奏だったと思います。この3年間で着実にバンドの力が向上しているように感じました。


    3
    関西 京都府 龍谷大学学友会学術文化局吹奏楽部 (指揮/若林義人) ※2年連続13回目

    5/また一緒 (酒井格)

    重厚なサウンドで美しいファンファーレでした。ソロ群も危なげなくクリア。全体的にもしっかりアナリーゼされた演奏でしたが、このバンドには珍しくTuttiでの強奏が荒く聞こえました。自由曲は、Sax、Trp、Trbの3人のソリストによるユーモラスなスタンドプレイでスタート。この曲の主題がいろんなパートから聞こえてきて、耳に残るほどの印象深さなのですが、どこか雑然とした感じが拭えませんでした。龍谷の良さを十分に生かすことなく終わってしまった感があります。過去の酒井作品で受けたような感銘度をそれほど感じなかったというのが正直な印象です。


    4
    九州 福岡県 福岡工業大学吹奏楽団 (指揮/柴田裕二) ※2年連続9回目

    1/バレエ音楽「シバの女王ベルキス」より (O.レスピーギ/小長谷宗一)

    軽快で流れのよいマーチです。ピッコロマーチは中学・高校でもいくつか聞くことができましたが、その中でもかなり良い出来だったと思います。中間部のTrpソロはクリアな演奏で秀逸。全体的にも躍動感のあるしっかりした演奏でした。ベルキスは大変重厚で豊かなサウンドを聞かせてくれました。1〜4楽章の全部からのハイライト版という構成で、ソロ群も美しく安定しています。各セクションが平均して高いレベルの技術を持っていて合奏体としても素晴らしく、十分金賞クラスの演奏だったと思います。これで銀賞は厳しいですね。(個人的には金賞だと思っていたのですが、残念。)


    5
    関西 大阪府 近畿大学吹奏楽部 (指揮/森下治郎) ※2年ぶり24回目

    4/「プラハのための音楽 1968」より II. アリア IV. トッカータとコラール  (K.フサ)

    輪郭のしっかりしたクリアで安定感のあるサウンドです。各セクションのバランスも良く、フレーズの処理の巧いですね。湧き上がる旋律が非常に心地よいマーチでした。プラハは重厚で輝かしいサウンドでよくまとまっていました。金管セクションに「力強さ」と「荒さ」が紙一重で見え隠れしており少しハラハラしましたが、各セクションが緊張感を持ちながらも非常に熱い演奏で、この大曲をスケール感の大きいものにしていました。特にラストのコラールは素晴らしい一体感で圧巻。8年ぶり17回目の金賞受賞、おめでとうございます。


    6
    東北 宮城県 東北福祉大学吹奏楽部 (指揮/松崎泰賢) ※3出休み明け5回目

    4/「散歩、日傘をさす女性」 〜クロード・モネに寄せて  (八木澤教司)

    明るいサウンドですが、全体のブレンドがもうひとつという印象です。表現は伸びやかですが、流れすぎていてマーチとしてのビートに欠けました。自由曲では一転。艶やかな音色が素晴らしいですね。よくアナリーゼされており、幻想的で立体的な演奏です。SaxとTrpのソロは浮きすぎていてバンドとの違和感がありました。全体的には木管セクションの音が細いのが残念。しかしながらラストのコラールは大変美しく秀逸でした。


    7
    東関東 神奈川県 神奈川大学吹奏楽部 (指揮/小澤俊朗) ※3年連続37回目

    5/「交響三章」より 第3楽章 (三善晃/小澤俊朗)

    冒頭のTrp&Trbのファンファーレはユニゾンが本当に美しく揃っていて鳥肌がたちましたね。ソロ群も豊かな表情で秀逸。一体となった木管セクションのまとまりが素晴らしく、金管も程よく抑制された冷静で質の高いサウンドが印象的。長野で演奏された「ナジム・アラビー」の中では最高の出来ではないでしょうか。自由曲ではお得意の作品らしく手馴れた感じで、緊張感のある曲を見事に仕上げていました。聞き手に安心感さえ与えるような演奏は王者の風格さえ感じますね。ソリストも非常に魅力的。3年連続21回目の金賞受賞です。


    8
    西関東 埼玉県 埼玉大学吹奏楽部 (指揮/小峰章裕) ※4年ぶり4回目

    3/吹奏楽のための交響詩「ぐるりよざ」より I. 祈り、 III. 祭り (伊藤康英)

    比較的あっさりしたオープニング。マーチはビートがよく出ていましたが、全体的に浮き足立った演奏で落ち着きがなかったように思います。しかし、「こう表現したい」という思いは伝わる課題曲でした。自由曲「ぐるりよざ」の「祈り」では男性合唱と管楽器のブレンドが美しい演奏でした。フレーズのつなぎ目に若干の不安はありましたが好演。「祭り」はパワフルな曲ですが、決して破綻せずにしっかりとした音楽を聞かせてくれました。


    9
    中国 岡山県 川崎医療福祉大学ハートフルウインズ (指揮/岩田俊哉) ※2年ぶり5回目

    3/レッドライン・タンゴ (J.マッキー)

    明るいサウンドでしたが、金管セクションが浮いておりブレンドがもう一つという印象です。マーチは一本調子な感じでしたが、後半以降尻上がりに良くなっていったと思います。自由曲は今大会話題の曲。場面毎のアンサンブルはよく合っているのですが、全体的な流れが良くなかったように思います。個人技がモノを言う作品ですが、各人が同じテンションで一体感を醸成するにはもう一つでした。しかし思い切りの良い演奏は同バンドの可能性を感じました。


    10
    東京 東京都 創価大学パイオニア吹奏楽団 (指揮/磯貝富治男) ※4年ぶり4回目

    3/ハリソンの夢 (P.グラハム)

    たっぷり響かせたオープニングは非常に美しいですね。クリアなサウンドで流れのよいマーチです。各セクションがしっかり聞こえてきますが分離することなくブレンドされていました。自由曲は高い技術で緻密なアンサンブルを聞かせてくれました。強奏になってもバランスが良いです。緩急のついたメリハリもしっかりしており、中間部の緩やかな部分でのサウンドは甘美的で感動的。ラストでみせた一体感も見事で圧巻で、感銘度の高い演奏だったと思います。6年ぶり3回目の金賞で、東京代表の連続金賞記録を23年に更新しました。

    11
    北陸 石川県 金沢大学吹奏楽団 (指揮/三浦宏予) ※2年連続13回目

    4/歌劇「フェドーラ」より (U.ジョルダーノ/鈴木英史)

    本日二人目の学生指揮者ですね。思い切りの良い若さあふれるマーチです。音もよく飛んできますしサウンドも悪くなかったと思います。フレーズの処理などに詰めの甘いところがあり、雑然とした印象があったのも事実。自由曲ではやわらかく温かいサウンドで好演。表現が平板だったのと、課題曲同様につめの甘い部分があったのが残念。このような曲で何か印象を残すには、本当に完璧なまでに仕上げることが大切だと思います。


    12
    東海 静岡県 静岡大学吹奏楽団 (指揮/三田村健) ※3年連続7回目

    3/華麗なる舞曲 (C.T.スミス)

    よく整理された演奏でクリアで爽快感がありました。Tuttiでの安定したサウンドも見事ですが、ちょっとアドレナリン全開で「早く自由曲を演奏したい…」という感じの課題曲でした。自由曲はキレのあるスピード感があります。よく練習されているようですし、アンサンブルも上手です。ソロ群も秀逸でしたが、カットが不自然で音楽の流れを妨げていたように思います。いずれにしてもジェットコースターに乗っているようなドキドキ・ワクワク(ちょっとヒヤヒヤ…)という演奏で、聞き手としてはとても楽しませていただきました。大学生のパワーを直接感じる快演でトリを飾ってくれました。


    ※出場回数には、招待演奏、特別演奏を含んでおりません。四国は推薦団体なし。


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