第61回全日本吹奏楽コンクール
    平成25年10月20日(日)/福岡サンパレス ホテル&ホール

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    職場・一般 前半の部

    1
    東北 宮城県 名取交響吹奏楽団 (指揮/楊鴻泰) ※2年連続18回目

    3/ドラゴンの年 (P.スパーク)

    朝一番とは思えないほど輝かしい音が響きました。中音域の充実した豊かなサウンド。自在なアゴーギクに加え、素晴らしいグルーヴ感をもった演奏でした。自由曲はキレのあるサウンドで魅力十分。金管楽器、とりわけトランペットの発音が明瞭で素晴らしい!! テクニカルな部分でバンドの実力を十分にアピールしていたと思います。中間部の緩やかな部分では伸びのある音と歌いこみが素晴らしかったです。文句無しの朝イチ金賞。おめでとうございます! 


    2
    北陸 福井県 福井ブラスアカデミー (指揮/奥野一) ※2年連続2回目

    3/シンフォニエッタ第2番「祈りの鐘」 (福島弘和)

    明るく快活なサウンドが課題曲によくマッチしていましたが、多少真面目過ぎる(遊びがない)演奏でした。もうちょっと弾けても良いのに。自由曲では音楽の流れが素晴らしく、どのパートもソツのない演奏です。特にオーボエソロは好演だったと思います。かなり体力を要する作品ですが、金管セクションも破綻することなくバランス良く響きを作っているのが印象的でした。昨年の初出場に比べるとしっか地に足がついた演奏だったと思います。

    3
    西関東 埼玉県 川越奏和奏友会吹奏楽団 (指揮/萩原亮彦) ※3出休み明け13回目

    5/沈黙の地球(ほし)〜レイチェル・カーソンに捧ぐ (阿部勇一)

    とても丁寧な音楽運びの課題曲でした。各ソリストもレベルが高く安定しています。ただ全体的にはキレが足りなく、安全運転気味な演奏でした。自由曲は難しい現代曲ですが、高い技術を披露しました。Tuttiのサウンドは強奏になっても流石にバランスが良かったです。2曲通じて、バンドと指揮者の呼吸が合わない部分が見受けられ、横綱的な演奏とはならなかったのが残念でした。

    4
    東関東 神奈川県 Pastorale Symphonic Band (指揮/佐川聖二) ※初出場

    3/大いなる約束の大地〜チンギス・ハーン (鈴木英史)

    殆どの団体がほぼ65名で出場するなか、44名という中編成は逆に新鮮でした。非常にすっきりとした透明感のあるサウンドで、個々のプレーヤーの技量の高さも伺えました。課題曲3にありがちなゴテゴテしたサウンドではなく、違ったアプローチが新鮮でした。自由曲は非常に手慣れた演奏。作品の要所要所のツボをしっかりと押さえており、メリハリのある演奏で魅了しました。音の薄い部分も音楽が貧弱にならずしっかりと流れており素晴らしいものとなっていました。初出場初金賞、おめでとうございます。

    5
    九州 福岡県 飯塚吹奏楽団 (指揮/谷口宗生) ※2年連続2回目

    4/オリエンタルラプソディ2013 (片岡寛晶)

    クラリネット8人に対してTrp8人、Trb8人という人数配置。Tuttiでのサウンドは金管群優位でバランスがもう一つでした。課題曲は少々力み過ぎたかサウンドが重く、マーチの躍動感やドライブ感を損なっていたように感じました。自由曲は一転、アナリーゼの行き届いた演奏で、程よく力の抜けた余裕の感じられるものとなりました。A.Saxのソロも秀逸でしたし、後半からの一体感も見事だったと思います。

    6
    北海道 函館地区 上磯吹奏楽団 (指揮/高橋徹) ※4年ぶり3回目

    3/バレエ音楽「青銅の騎士」より (R.グリエール/林紀人)

    丁寧な演奏ですが、ノリがおとなしく平板な演奏となりました。Trpが若干精細を欠いていたのが残念。全般的に音楽の推進力が乏しく、躍動感がもっと欲しいと感じました。ただし、随所に見せるハーモニーは素晴らしかったと思います。自由曲のほうがバンドのサウンドにマッチしていました。決してオーバーブロウせず、バランスの良い透明感のあるサウンドで色彩豊かな演奏になったと思います。

    7
    九州 鹿児島県 J.S.B.吹奏楽団 (指揮/東久照) ※7年ぶり7回目

    5/信長〜ルネサンスの光芒 (鈴木英史)

    課題曲は非常に流れが良く、各パートもクリアに聞こえてきます。上手く歯車の噛み合ったまとまりのある演奏でした。自由曲はドラマティックな作品で、コーラスも大変効果的。残念ながら全般的に表現がおとなしく、個性派揃いのこの部門では印象が薄かったように思います。なにかもう一つ、J.S.B.として主張が感じられるところが欲しかったように感じました。

    8
    東海 愛知県 東海市吹奏楽団 (指揮/大澤健一) ※4年ぶり3回目

    4/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より (M.ラヴェル/大澤健一)

    軽快なテンポのマーチですが、若干前のめりな感があり落ち着きがありませんでした。音楽が流れ過ぎており、マーチのもつビート感・ドライブ感が損なわれていたのは残念でした。ダフニスの「夜明け」では幻想的な雰囲気で大人ならではの表現は流石。「全員の踊り」でも推進力を感じさせる演奏で、特に木管セクションの技量の高さが十分に伝わりました。終曲に向かう盛り上がりや高揚感が素晴らしく圧巻ともいえる仕上がりだったと思います。

    9
    東北 秋田県 秋田吹奏楽団 (指揮/佐藤正人) ※2年ぶり12回目

    3/パガニーニ・ロスト イン ウィンド (長生淳)

    大変重厚でゴージャスなサウンド。A.Saxソロは期待通りの艶のある音色で美しく存在感を残しています。全体的に演奏が重くなり過ぎな部分もありました。自由曲では幻想的なサウンドで一気に引き込みました。若干アンサンブルの乱れもあるものの、バンドの一体感には素晴らしいものがあります。Saxセクションが良く音楽を引っ張っており、この曲の魅力を引き出しています。ソロのラストは惜しかったですが、好演でした。

    10
    中国 岡山県 倉敷市民吹奏楽団グリーンハーモニー(指揮/佐藤道郎) ※2年ぶり13回目

    4/楽劇「サロメ」より 七つのヴェールの踊り (R.シュトラウス/M.ハインズレー)

    非常に優美で透明感のあるサウンドで、洒落たマーチとなりました。小気味よいビートにのって旋律からは自然な「歌」を感じられます。トリオのEuphのオブリガードが一番美しいと感じた演奏でした。サロメはオーボエの妖艶なソロが秀逸。伴奏の低音群のピッチが多少甘いかなと感じましたが、全体的には重厚なサウンドと柔軟なアンサンブルを聞かせ、大人のサロメに魅了されました。同楽団としては初の金賞で、1987年(山口BS)以来実に26年ぶりの中国一般バンドから金賞です。

    11
    関西 兵庫県 尼崎市吹奏楽団 (指揮/辻井清幸) ※3年連続29回目

    4/交響的断章 (V.ネリベル)

    落ち着いた中にもドライブ感のあるマーチです。大編成であることを感じさせない推進力と機動力のある演奏でした。特にトリオの美しさは見事でした。自由曲では本領発揮。重厚なサウンドがネリベル作品に良くあっています。特に金管セクションのレベルが高く、美しい発音と音色は当日随一。それに加えてクラリネット群の音の豊かさと安定感が素晴らしいです。この日の評価で個人的に唯一不満だったのは、尼崎の銀賞でした。管理人は金賞間違い無しと思いました...。残念!

    12
    四国 高知県 鏡野吹奏楽団 (指揮/弘田靖明) ※3年連続21回目

    5/風の渡る丘 〜吹奏楽のための (中橋愛生)

    全体的にサウンドに輪郭がなく、ぼやけた印象でした。各パートも明瞭に聞こえず、音楽の流れを阻害し雑然とした演奏になってしまったようです。自由曲では委嘱作品らしく手中に収めたような音楽運びは流石です。ピアニカや手回しオルゴールなどが取り入れられ、色彩感のある変化に富んだ作品でしたね。タイトルにある「風」を随所に感じる爽快感のある仕上がりだったと思います。(エアコンなのか舞台裏にある打楽器のキャスターの音なのか、終始"きゅるきゅる"という雑音が聞こえ演奏の邪魔をされていたのが残念でした…)

    13
    東京 東京都 東京隆生吹奏楽団 (指揮/畠田貴生) ※3年連続3回目

    3/宇宙の音楽 (P.スパーク)

    明るくゴージャスなサウンドは健在。堂々たる音楽運びとグルーヴ感で前半では最も素晴らしい課題曲の一つだと感じました。Saxソロも艶のある表現で花を添えました。自由曲、冒頭のホルンソロはちょっと危うかったですが、なんとか吹き切りました。Tuttiでの安定感・バランスの良さはもちろん、弱奏での安定感が見事。奏者一人一人が高い技術でしっかりと自信をもって演奏している結晶と思います。終曲に向かう一体感や高揚感は実に素晴らしく、前半のトリをしっかり勤めました。聴衆からもブラボーの嵐でしたね。3年連続3回目の金賞です。



    ※出場回数には、招待演奏、特別演奏を含んでおりません。


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