第64回全日本吹奏楽コンクール
    平成28年10月30日(日)/金沢歌劇座

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    職場一般・前半の部

    1北陸 福井県 ソノーレ・ウィンドアンサンブル(指揮/佐藤正人) ※3年連続11回目

    2/交響曲第10番より 第2・4楽章(D. ショスタコーヴィチ/天野正道)

    朝イチとはいえ、クリアでシャープなサウンドが素晴らしいです。音の立ち上がりが美しく、よく整理された課題曲でした。期待のショスタコ10番。キレのあるアンサンブルと重厚なサウンドで大人の演奏でした。第2楽章のキレのあるシャープな演奏でスタート。4楽章での軽快でおどけたようなアンサンブルが見事で、バスーンのソロも秀逸でした。金管セクションの華やかなサウンドが素晴らしかったです。うまく構成されたプログラムで、自由曲の新しいレパートリーとしても期待できそうです。


    2東関東 千葉県 光ウィンドオーケストラ(指揮/佐藤博) ※4年連続4回目

    5/プラネット・ナイン 〜未知への軌跡〜(樽屋雅徳)

    大編成ながらもスッキリとシャープなサウンドで、難しい課題曲をさらっと演奏していたようです。きちんと整理されており、どのセクションもしっかりと仕事をしていますが、全体的には表現が平板で平凡な演奏になってしまったようです。自由曲ではバランスの良いサウンドで、ソツのない巧い演奏を聞かせました。特に中間部のアンサンブルが非常に美しかったです。バンドの実力はかなり高いと思いますが、聞かせどころが不明瞭なまま終曲してしまったようです。個性のぶつかり合いのようなこの部門では、もっと光ウインドのカラーが足りなかったように思いました。

    3東北 宮城県 名取交響吹奏楽団(指揮/楊鴻泰) ※5年連続21回目

    1/ウインドアンサンブルのためのコンチェルト(S.ブライアント)

    重厚なサウンド。マーチは落ち着いたテンポで丁寧な音楽運びでした。終始バランスの良いサウンドで一つ一つの音、フレーズを確かめるように演奏していたのが印象的です。自由曲はこの大人の洒落た音楽が見事です。ソロとTuttiが複雑に絡みある作品で、個人技の見せ所が随所にちりばめられていますが、着実に確実にクリアしていくのは流石。音楽のスピード感、流れ等、大人ならではの余裕すら感じる演奏で魅了されました。4年連続7回目の金賞受賞です。

    4中国 岡山県 倉敷市民吹奏楽団グリーンハーモニー(指揮/佐藤道郎) ※2年連続15回目

    1/バレエ音楽「白鳥の湖」より 序奏、4羽の白鳥の踊り、終曲(P.チャイコフスキー/保科洋)

    課題曲ではストレートな表現で正統派な演奏ではありましたが、第一マーチのピッチが微妙に合わず、不安定な印象を受けました。サウンドの線が細く、Tuttiでも少し安定さを欠いていたようです。自由曲でもピッチの不安定さが解決せず、全体的にぼんやりとした演奏になっていました。「4羽の白鳥」での木管アンサンブルは透明感があり非常に美しかったです。終曲でもどことなく演奏に安定感がなく、サウンドが散らばってしまったように思います。

    5東海 静岡県 浜松交響吹奏楽団(指揮/浅田享) ※6年連続15回目

    3/富士山(Mont Fuji)−北斎の版画に触発されて− (真島俊夫)

    重厚で色彩感のあるサウンドは流石です。各セクションがクリアでアンサンブルにもキレがありました。場面転換も非常に鮮やかで音楽に推進力があります。自由曲でも同様、アグレッシブで積極的な表現が見事。和の響きが実に素晴らしく、品の良い洗練された演奏でした。ラストのコラールでのサウンドの一体感が秀逸で、感動的な演奏だったと思います。2年ぶり9回目の金賞で、指揮者の浅田氏の長年出場指揮者表彰に花を添えました。

    6九州 福岡県 春日市民吹奏楽団(指揮/八尋清繁) ※3年連続7回目

    1/天雷无妄(天野正道)

    音の輪郭が鮮明で、Tuttiのサウンドがシャープ且つ透明感が備わっています。マーチは比較的落ち着きのあるテンポでした。どのセクションも丁寧に音を紡いで流れを作っており、特にトリオの美しさが際立っていました。自由曲はトランペットのファンファーレをカットしていたのが残念。イングリッシュホルンの幽玄なソロは存在感があり見事でした。Tuttiでの音のまとまりが充実しており、バンド全体の合奏力の高さを物語っていたと思います。

    7東北 秋田県 秋田吹奏楽団(指揮/加藤顕一) ※2年連続14回目

    2/二つの交響的断章(V.ネリベル)

    課題曲は軽やか且つ洒落たアンサンブルにはなっていましたが、全体的に表現がおとなしく平板でメリハリがなかったように思います。自由曲はひそやかな鍵盤楽器のアンサンブルと管楽器のベルトーンがよく合っていました。サックスのデュエットは美しい出来栄え。第1楽章でのゆったりした雰囲気ながら推進力のある音楽で良い出来だったと思います。第2楽章は個人的にはもっとアグレッシブな表現が欲しいと感じました。全体的に丁寧な演奏ではありましたが、一体感やスピード感が不足しており、この作品の持つ高揚感がもう一つと感じました。

    8関西 大阪府 創価学会関西吹奏楽団(指揮/伊勢敏之) ※3年連続18回目

    5/吹奏楽のための協奏曲(高昌帥)

    課題曲では若干アンサンブルの乱れがあったものの、ホールをよく響かせたスケールの大きい演奏でした。Tuttiのバランス良いサウンドは圧倒的で、前半部門では出色の出来栄えだったと思います。自由曲はまさに横綱のような演奏で、自在なアンサンブルを披露しました。説得力のある主張のはっきりした表現と解釈が鮮やかで、大いに会場を沸かせた圧巻の名演だったと思います。3年連続16回目の金賞受賞です。

    9九州 福岡県 ブリヂストン吹奏楽団久留米(指揮/冨田篤) ※2年連続43回目

    4/交響詩「ローマの祭り」より チルチェンセス、主顕祭(O.レスピーギ/榛葉光治)

    骨太で重厚なサウンド。マーチは全体的に重いビートでしたが、小細工のないストレートな表現は風格さえ感じる演奏でした。自由曲では圧倒的な音圧と色彩感あるサウンドが素晴らしいです。チルチェンセスではトランペットのバンダ隊がステージ下手で美しいファンファーレを響かせ、名演を予感させます。聞きなれた「ローマの祭り」をここまで主張をもって魅せてくれたのは見事でした。2年連続32回目の金賞受賞です。

    10北海道 函館地区 上磯吹奏楽団(指揮/高橋徹) ※2年連続5回目

    4/交響的印象「教会のステンドグラス」より(O.レスピーギ/藤田玄播)

    ピッチやハーモニーがピタリときまらず、雑然としたまま曲が進んでいったようです。コンサートマーチではありますが、躍動感やドライブ感はもっと欲しいところ。全体的にまとまりのないまま曲が終わってしまい残念でした。自由曲では違うバンドのようで、Tuttiでの重厚感と鮮やかな色彩を放ったサウンドが素晴らしかったです。ただ表現がおとなしく、この作品のもつ絢爛な雰囲気を出すにはもう一つと感じました。

    11四国 愛媛県  藤原大征とゆかいな音楽仲間たち(指揮/藤原大征) ※3年連続4回目

    3/復興(保科洋)

    躍動感のある演奏ですが、少し音楽が急ぎ過ぎでした。フレーズが不鮮明で音符の処理が消化不良な部分があり、全体的に雑然とした演奏でまとまりに欠けていたのが残念です。自由曲では大きい音楽の流れが素晴らしく、表情豊かな表現の演奏だったと思います。全体的に荒削りな部分が多く、精細を欠いてしまったようでした。

    12東京 東京都 東京隆生吹奏楽団(指揮/畠田貴生) ※6年連続6回目

    1/ウインドオーケストラのためのバラッド(高昌帥)

    課題曲は美しく華やかなオープニングが見事でした。ただこのバンドらしからぬピッチやリズムの乱れが散見していたのが残念でした。自由曲では重厚で圧巻なサウンドを響かせました。冒頭のトランペットのソロは素晴らしい音色と表現で抜群の安定感! 全体を通してもソリストもクオリティが高く、Tuttiのサウンドのまとまりが秀逸です。特にトランペットセクションのレベルの高さが抜きんでていたのが印象的でした。ラストのチューバソロもブラボーです!感銘度の高い演奏で金賞でも十分と感じました。

    13西関東 埼玉県 伊奈学園OB吹奏楽団(指揮/宇畑知樹) ※4年ぶり6回目

    1/ラッキードラゴン 〜第五福竜丸の記憶(福島弘和)

    非常にクリアで透明感のあるサウンドです。力みのない自然な表現と軽やかなリズムが心地よいコンサートマーチでした。どこかのセクションが目立って主張するわけではないのですが、Tuttiのサウンドが実に清々しいバンドです。自由曲はメリハリがあり弱奏と強奏のコントラストが見事です。弱奏でも音楽よく流れておりアンサンブルの巧さが光っていました。強奏でもバランスの崩れない美しい音で感動的な演奏となりました。4年ぶり2回目の金賞受賞です。




    ※出場回数には、招待演奏、特別演奏を含んでおりません。


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