第64回全日本吹奏楽コンクール
    平成28年10月29日(土)/金沢歌劇座

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    大学の部

    1北海道 函館地区 北海道教育大学函館校吹奏楽団 (指揮/三笠裕也) ※2年連続23回目

    5/富士山(Mont Fuji)-北斎の版画に触発されて- (真島俊夫)

    プログラム1番の緊張感もあったでしょうか、技術的には申し分ないバンドだと思いますが、課題曲は全体的に表現が平板であっさりとし過ぎた感じです。自由曲では曲想をうまく掴んだ演奏です。しかし、要所でミスが散見され、全体的に制裁を欠いた演奏になってしまいました。音楽の流れは良かっただけに残念でした。最後まで不完全燃焼のまま終わってしまったようでした。


    2東関東 神奈川県 神奈川大学吹奏楽部(指揮/小澤俊朗) ※4年連続44回目

    5/バッハの名による幻想曲とフーガ(F.リスト/田村文生)

    課題曲は緻密で正確なアンサンブルが見事でした。一発勝負の本番であっても、実力を最大限に引き出しベストパフォーマンスができるのは素晴らしいです。バッハでは重厚感のあるサウンドと、バンドの機動力の素晴らしさが見事でした。昨今のコンクールではよく耳にする作品ですが、神大らしいエッセンスが盛り込まれた出来栄えで、改めてこの曲の魅力を確認できたように思います。隅々までアナリーゼされ、予定通り演奏を再現するバンドの力は他にはない安定感・安心感すら感じました。4年連続28回目の金賞受賞です。

    3西関東 埼玉県 文教大学吹奏楽部(指揮/佐川聖二) ※5年連続24回目

    5/風伯の乱舞(石毛里佳)

    大学部門の白眉。シャープ且つ透明感のあるサウンドで、非常にレベルの高い演奏を聞かせてくれました。隅々までアナリーゼされており、要所の決め所がピタリときまっていました。今大会の課題曲5の中では最も素晴らしい演奏だったと思います。自由曲では和の響きが鮮やかで、非常にしなやか且つ大胆なアンサンブルが秀逸。各ソリストも質の高い演奏で全体を引き締めています。2年連続16回目の金賞受賞です。

    4四国 徳島県 四国大学吹奏楽部(指揮/楫完治) ※初出場

    1/吹奏楽のための抒情的「祭」(伊藤康英)

    32人という編成。正直なところ、ピッチ、アインザッツ、アーティキュレーション等が合わない部分が多く、基本的な部分で減点されるような演奏だったのですが、一人一人が責任をもって音楽に取り組んでいるのがよく伝わりました。少ないながらもマーチの躍動感はよく出ていて、ピッコロが音楽をよく引っ張っていました。自由曲は曲想をしっかり捉えた演奏でしたが、ユーフォニアムのソロはもっとソリスティックなっ表現が欲しかったです。課題曲同様、ハーモニーをはじめ細かい乱れが露呈したのは残念でした。

    5東京 東京都 東海大学吹奏楽研究会(指揮/福本信太郎) ※6年連続9回目

    5/時に道は美し ~愛について~(長生淳)

    しっかりと組み立てられた演奏で、完成度の高い課題曲でした。テクニカルな部分も見事で洗練された音楽だったと思います。最初から最後まで緊張と緩和の対比が実に素晴らしく、奏者のレベルの高さが抜きんでていたと感じました。自由曲では柔らかく豊かなサウンドで、音楽に余裕がありました。Tuttiでもバランスが崩れないバンドのまとまりが秀逸です。終始、甘美で陶酔感のあるサウンドに魅了さえました。昨年の雪辱を果たし、2年ぶり4回目の金賞受賞です。

    6九州 福岡県 九州情報大学吹奏楽部(指揮/屋比久勲) ※初出場

    1/エルフゲンの叫び (J.ローレンス)

    期待通りの重厚な屋比久サウンドでした。初出場ながらも堂々たる演奏で、メリハリのある音楽作りは流石といったところでしょうか。トリオのユーフォニアムのオブリガードが非常に美しい出来でした。もちろん荒削りな部分は部分はありましたが、来年以降が楽しみですね。自由曲はうっとりするようなオーボエでスタート。Tuttiとソロの対比が秀逸で、中間部のサックスソロは秀逸。豊かで厚みのあるオルガンのようなサウンドが素晴らしく、終曲への高揚感が見事でした。

    7東海 静岡県 静岡大学吹奏楽団(指揮/三田村健) ※4年連続14回目

    1/華麗なる舞曲(C.T.スミス)

    荒削りですが、躍動感があって力みなぎるマーチです。ストレートな表現が爽快でしたが要所でツメが甘いところが見えてしまったようです。ラストのトランペットソロは美しい出来だったと思います。自由曲はどの楽器も細かいパッセージをよく演奏していました。ただ、ちょっと速すぎるテンポのせいでしょうか、音符が不鮮明になる箇所がいくつかあり、なんとなく音楽が進んでいってしまった感があります。ピッコロトランペットのソロは見事吹き切り、音楽が締まったと思います。2曲通して音楽に躍動感がある反面、荒っぽさが目立ってしまったのが残念でした。

    8中国 山口県 山口大学文化会吹奏楽部(指揮/松田和寛) ※5年ぶり6回目

    5/ハンガリー民謡「くじゃく」による変奏曲(Z.コダーイ/森田一浩)

    複雑に絡みある難曲ですが、ところどころに技術的に幼い部分が露呈してしまい、音楽の流れを損なってしまったのが惜しいと思いました。自由曲は久しぶりに聞いた「くじゃく」。全体的に表現が平板で、個性的な演奏がひしめくこの部門において、強烈な印象を残すことができなかったように思います。中間部のフルート、ピッコロのソロを中心としたアンサンブルは透明感のあるサウンドが秀逸。終曲に向かう一体感は良いのですが、全体的に金管セクションがオーバーブロウ気味でバランスを欠いてしまったようです。

    9東京 東京都 立正大学吹奏楽部(指揮/佐藤正人) ※19年ぶり2回目

    2/故郷…鼓響 II(天野正道)

    大学部門、唯一の課題曲2は耳に新鮮です。輪郭のスッキリしたクリアで透明感のあるサウンドがこの課題曲によく合っていました。軽快で洒落たアンサンブルが上手で、打楽器のバランスが程よく耳に心地より演奏でした。自由曲では一転、重厚なサウンドと熱い表現が見事。第3楽章での笛のソロが秀逸でこの作品をより色濃く印象付けていたと思います。終始、バランスの良いサウンドと推進力のある音楽が素晴らしい12分間でした。

    10関西 京都府 龍谷大学吹奏楽部(指揮/若林義人) ※3年連続20回目

    3/バレエ音楽「火の鳥」より 魔王カスチェイの凶悪な踊り、終曲(I.ストラヴィンスキー/G.デュカー)

    大変重厚なサウンドで正直このホールでは音量過多気味と思いました。しかし迷いのない直線的なサウンドとストレートな表現で課題曲をより個性的な仕上がりにしていたと思います。自由曲はキレのある演奏で、隅々までよくアナリーゼされており貫禄さえ感じる出来でした。Tuttiでの金管セクションが吹きすぎでバランスを欠く部分も見受けられますが、全体的には力強い音楽の流れが素晴らしい演奏だったと思います。2年連続10回目の金賞受賞です。

    11九州 福岡県 福岡工業大学吹奏楽団(指揮/柴田裕二) ※3年連続16回目

    5/バレエ音楽「中国の不思議な役人」より(B.バルトーク/加養浩幸)

    積極的な表現で音楽が生き生きと流れており、情熱的な課題曲だったと思います。無機質になりがちな作品に生命を吹き込んだ快演でした。自由曲は課題曲よりもさらに表現が積極的でキレがありました。トロンボーンのソリも息がピッタリあっており実に秀逸です。確かな技術で鬼気迫る雰囲気が見事です。ぐいぐいと聴衆を引き込んでいった名演でした。4年ぶり4回目の金賞受賞です。


    12
    東北 福島県 いわき明星大学吹奏楽団(指揮/根本直人) ※初出場

    1/無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第二番より シャコンヌ(J.S.バッハ/根本直人)

    37人の編成ながらも、一人一人がしっかり音を鳴らしており、Tuttiでのサウンドにも安定感がありました。課題曲ではツボを押さえた小細工のない演奏です。自由曲は、少ない人数でのスッキリとしたサウンドが各パートをより鮮明にしていました。これくらいの人数のほうがシャコンヌの魅力が伝わるような気がしました。


    13北陸 石川県 金沢大学吹奏楽団(指揮/長田明) ※5年ぶり17回目

    3/カントゥス・ソナーレ(鈴木英史)

    トリは地元のバンド。毎年利用しているホールという安心感もあるでしょうか、バランスの良いサウンドで各セクションがクリアに聞こえました。学生指揮ながらもバンドをよく引っ張っており、丁寧で端正な音楽作りが素晴らしいと思います。特に自由曲では、サウンドに色彩感が備わり、伸びやかな表現でスケールの大きい演奏を聞かせてくれました。




    ※出場回数には、招待演奏、特別演奏を含んでおりません。


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