第64回全日本吹奏楽コンクール
    平成28年10月22日(土)/名古屋国際会議場センチュリーホール

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    中学・後半の部

    1東北 秋田県 湯沢市立湯沢北中学校(指揮/佐藤久美子) ※11年ぶり3回目

    2/ウインドオーケストラのためのマインドスケープ(高昌帥)

    音の立ち上がりが明瞭です。クリアで透明感のあるサウンドが素晴らしいです。難しい課題曲を実に手慣れた感じでおしゃれに演奏されており、音楽の流れも秀逸でした。マインドスケープは時間の都合でしょうか、カットが強引でした。少ない人数で演奏するうえで色々工夫をされていたようですが、この作品のもつ魅力を伝えるまでにはもう一つと感じました。


    2北陸 石川県  津幡町立津幡南中学校(指揮/奥泉清人) ※3年ぶり2回目

    4/天雷无妄(天野正道)

    明るくクリアなサウンドで快活なマーチとなりました。音楽はよく流れていますが、マーチの躍動感がもう一つと感じました。自由曲は冒頭のファンファーレがカットされていたのは残念でしたが、バスーンのソロは見事でした。緩急のついた表現力が素晴らしく、音楽に勢いを感じました。全体的にスケールの大きい演奏でしたが、大味な部分や雑然とした部分も垣間見え、要所でのツメの甘さが露呈していたのが残念です。

    3東関東 千葉県 柏市立酒井根中学校(指揮/犬塚禎浩) ※3年連続12回目

    4/シネマ・シメリック(天野正道)

    最初の音から他の団体との違いが如実で、質の高い洗練されたサウンドが響きわたりました。小細工のない王道を行くマーチで、お手本のような演奏だったと思います。自由曲ではバンドの力が更に発揮されています。艶のあるサウンドと自在なアンサンブルがずば抜けていたと思います。特に今年は金管セクションの華やかで安定感のあるサウンドが素晴らしかったと思います。3年連続10回目の金賞受賞です。

    4九州 福岡県 福岡市立姪浜中学校(指揮/宮本昇) ※2年連続2回目

    1/シンフォニエッタ第2番「祈りの鐘」(福島弘和)

    明るく快活なサウンドで中学生らしい爽やかなマーチでした。全体的にドライブ感に欠け、表現が平板な印象を受けました。トリオ以降もサウンドのバランスが悪く雑然と聞こえました。自由曲では壮大で神秘的な雰囲気の作品ながらも、しっかり自分たちで理解し消化されていたと思います。Tuttiでのブレンド感がもう一つで、各セクションが時折分離して聞こえたのが残念です。中間部からは音楽が急ぎ過ぎで、余裕のない演奏になってしまったように思います。

    5東京 東京都 玉川学園中学部(指揮/土屋和彦) ※2年ぶり13回目

    3/鳳凰〜仁愛鳥譜 (鈴木英史)

    楽器の発音がクリアで、シャープなサウンドでした。課題曲は各セクションがよく整理されており、スマートな仕上がりになっていました。自由曲は変化に富んだ作品ですが、色彩感が鮮やかでスケールの大きい演奏で実に美しかったです。特に後半から終曲に向けてのサウンドの一体感は素晴らしく、感銘度の高い仕上がりだったと思います。

    6九州 福岡県 福岡市立香椎第3中学校(指揮/井手憲一) ※2年ぶり2回目

    1/歌劇「トゥーランドット」より(G.プッチーニ/後藤洋)

    安定感のある伴奏群と清々しい歌い方の旋律群がよく合わさった演奏です。サウンドが明るく、心地よいドライブ感のマーチで好演だったと思います。美しいトリオを経て終曲に向かう盛り上がりが秀逸で、ラストのトランペットソロも素晴らしい出来でした。プッチーニは立体的な演奏でホールをよく響かせています。オーボエのソロも大変優美で美しかったと思います。後半はちょっとっ表現が大味になった感がありましたが、感動的な終曲でした。

    7東北 岩手県 北上市立上野中学校(指揮/柿沢香織) ※2年連続2回目

    2/バレエ音楽「シバの女王ベルキス」より ソロモンの夢、狂宴の踊り(O.レスピーギ/小長谷宗一)

    この課題曲にはちょっと軽やかさが欲しいと感じましたが、めまぐるしく変わる場面転換も鮮やかでした。このバンドの良さが発揮されたのベルキスです。重厚でバランスの良いサウンドに加え、大変表情豊かな表現で壮大な世界を表現しています。ソロの時、伴奏がちょっと大き過ぎる場面が見受けられたのが残念。第4楽章では金管群が鮮やかな音を響かせて好演でしたが、こちらは表現があっさりし過ぎた印象で、「タメ」のようなものが足りなかった印象です。

    8関西 兵庫県 加古川市立中部中学校(指揮/中原淳子) ※33年ぶり2回目

    1/富士山(Mont Fuji)−北斎の版画に触発されて− (真島俊夫)

    40数名の編成で透明感のあるサウンドが印象的です。ピッチがよく合っており、各楽器の音が非常にクリアに聞こえました。マーチは素直な演奏でしたが、比較的おとなしい表現に終始してしまい、躍動感やドライブ感が不足していたと思います。自由曲では複雑に絡みあう各セクションが、実にうまく計算・整理された演奏で、ホルンとフリューゲルホルンのソロも良い音で秀逸です。鮮やかな色彩感と「和」の雰囲気をうまく醸し出した演奏で、感銘度の高い仕上がりでした。

    9中国 山口県 防府市立桑山中学校(指揮/野上慎二郎) ※5年連続12回目

    2/「セクエンツィア」〜ウインドオーケストラのための(鈴木英史)

    39名という編成。小さい編成を活かし、スッキリとしたサウンドでこの課題曲の良さを引き出していたと思います。各パートの人数が少ないので一人一人の責任が大きいですが、どの奏者も主張をもって演奏しているのが素晴らしいです。特に楽器の発音がクリアで音楽にメリハリがありました。自由曲ではバンドのサウンドをガラッと変え、は神秘的な雰囲気の作品をうまく表現しています。2曲ともに質の高いサウンドと音楽だったと思います。

    10東京 東京都 小平市立小平第三中学校(指揮/澤矢康宏) ※3年連続12回目

    2/ウインドオーケストラのためのマインドスケープ(高昌帥)

    課題曲ではバランスの良いサウンドで、隅々までしっかりアナリーゼされ、確実に音楽を作り上げていたと思います。マインドスケープは重厚なサウンドとソリストの質の高さが素晴らしいです。サックスのソロ、ソリは安心して聞けましたし、中間部の木管セクションを中心とした歌いこみも実に見事です。打楽器の要所要所でのアンサンブルの巧さが光り、よりスパイスを聞かせた音楽になっていました。2年連続9回目の金賞受賞です。全部門通じて「課題曲2」での唯一の金賞バンドであり、東京代表としての金賞9回は名門・豊島第十中に並びました。

    11中国 島根県 出雲市立第一中学校(指揮/段真大) ※3年連続44回目

    3/楽劇「サロメ」より 七つのヴェールの踊り(R.シュトラウス/栂野孝行)

    課題曲では重厚なサウンドでドラマティックな音楽を作り上げました。場面転換が鮮やかですが、音楽の流れが秀逸です。サロメでは期待通り、オーボエをはじめとするソロ群が見事。歌心も十分で、存在感が素晴らしい演奏でした。サウンドが格別に美しく、場面場面によって透明感であったり重厚感であったりと、色んな表情を魅せてくれました。2年連続22回目の金賞受賞です。

    12東海 愛知県 日進市立日進西中学校(指揮/清野雅子) ※2年連続2回目

    1/イタリア奇想曲 (P.I.チャイコフスキー/清野雅子)

    管楽器の発音がクリアで、大変透明感のあるサウンドでした。素直で自然な歌い方の旋律と、小気味よい伴奏群が良いマーチを作りあげています。自由曲の冒頭のトランペット6人によるユニゾンのファンファーレは見事。本番一発勝負であってもピッチがぴったり合っており、自信がみなぎる堂々たる演奏には脱帽です。カットには違和感を感じたものの、全体的には期待通りの仕上がりで感銘度が高かったと思います。管理人は金賞でも十分と感じました。

    13北海道 函館地区 北斗市立上磯中学校(指揮/中條淳也) ※2年連続3回目

    3/華麗なる舞曲(C.T.スミス)

    華やかな金管群を中心としたバランスの良いサウンドです。課題曲では冒頭の美しいファンファーレから流れの良い音楽で、早いパッセージでの音の立ち上がりやハーモニー等、細部にわたってよく気配りされた演奏だったと思います。そして自由曲のスミスはまさにこの日一番の白眉。とても中学生とは思えないサウンドとテクニックを余すところなく見せつけてくれました。終始「攻め」の音楽が功を奏したと思います。各ソリストのクオリティも高く、まさに圧巻・圧倒的な演奏でした。2年連続3回目の金賞です。

    14四国 愛媛県  松山市立拓南中学校(指揮/三棟優子) ※2年連続5回目

    1/歌劇「アンドレア・シェニエ」より(U.ジョルダーノ/宍倉晃)

    第一マーチでは旋律群の微妙なピッチのズレが気になりました。トリオでのユーフォニアムの美しい対旋律が湧き上がるような歌い方で存在感を出していたのが印象的。ラストに向けてのギアチェンジした感じが気持ちよい演奏でした。自由曲では豊かで鮮やかなサウンドで清々しい音楽を聞かせてくれました。Tuttiになると力んでしまうのが残念で、もう少しサウンドに透明感が欲しいと思いました。

    15西関東 埼玉県 朝霞市立朝霞第一中学校(指揮/外ア三吉) ※2年連続2回目

    2/歌劇「アンドレア・シェニエ」より(U.ジョルダーノ/宍倉晃)

    男子奏者が20名近くいるという近年では珍しいバンドです。伸びやかな表現力と豊かで柔らかいサウンドが大変美しい演奏でした。課題曲2に限っていえば、非常に洗練されたアンサンブルで個人的にはこの日一番好きな演奏でした。自由曲では冒頭のハープとチェレスタのアンサンブルの甘美な響きが心地よく、一気に朝霞第一サウンドに引き込まれました。色彩感あふれるサウンドでこの作品をより一層引き立てています。感銘度が高く、個人的には金賞いったと思ったのですが、残念!


    ※出場回数には、招待演奏、特別演奏を含んでおりません。


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