第71回全日本吹奏楽コンクール
    令和5年10月22日(日)/名古屋国際会議場センチュリーホール
     
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     高校・前半の部

    1
    東京 東京都 東海大学付属高輪台高等学校(指揮/畠田貴生) ※3年連続17回目

    1/アウレア・レゲンダ(福島弘和)

    いきなり強豪高の登場。同校にとっても初めての朝イチですが、東京代表の朝イチは1989年(関東第一)以来34年ぶりというのも驚きです。さて自由曲は2017年から続く同校委嘱による福島作品。「アウレア・レゲンダ」とは、キリスト教の聖人伝集のことで100名以上にのぼる聖人の生涯が紹介されています。1267年に完成したと言われており、中世欧州において聖書と同様に広く読まれ、文化・芸術に大きな影響を与えたと言われています。これまで金賞11回、銀賞5回を受賞しています。


    2
    東北 福島県 福島県立いわき湯本高等学校(指揮/小山田浩) ※2年ぶり15回目

    2/ピース、ピースと鳥たちは歌う(伊藤康英)

    2022年に湯本高と遠野高が統合されて「いわき湯本高」として開校しましたが、湯本高校の出場回数を引き継いだ数としました。高校部門ではMAX55人で出てくるところが多いなか40人程度の編成で支部を抜けてくるところは見事です。「ピース〜」は創価大学パイオニア吹奏楽団の委嘱作品で2019年に全国大会初登場した作品。パブロ・カザルスの「鳥の歌」に啓発を受けて作曲された作品です。これまで金賞2回、銀賞6回、銅賞6回を受賞しています。

    3
    東北 秋田県 ノースアジア大学明桜高等学校(指揮/石崎聖也) ※初出場

    3/吹奏楽のための交響曲「ワインダーク・シー」(J.マッキー)

    東北支部・秋田南や磐城をおさえての初代表。以前は秋田経済法科大学附属高校という名称でしたが、2007年に大学がノースアジア大学に改称したと共に附属高校も現在の名称になりました。石崎先生は秋田経法大付属の頃から同校を指導されており、2014年に支部大会に初出場、悲願の全国初出場を射止めました。「ワイン・ダーク・シー」はテキサス大学バンド創立100周年記念の委嘱作品で、2014年5月、テキサス大学ウインドアンサンブルの世界一周ツアー<日本公演>によって披露されました。全3楽章で構成され、演奏時間は30分を要する作品です。

    4
    北海道 北見地区 北海道遠軽高等学校(指揮/橋利明) ※2年連続11回目

    1/吹奏楽のための風景詩「ジャングル」(F.フェラン)

    これまで全国大会で演奏されたフェラン作品は「キリストの受難」「ピノキオ」のみでしたが、今年は新しく「ジャングル(遠軽高)」と「星の王子様の冒険(上磯吹)」が加わりました。「ジャングル」はその名前のとおり、アフリカ音楽を題材にした作品で、アフリカの民族打楽器なども使われている作品です。全国大会初演となります。これまで銀賞8回、銅賞2回を受賞しています。

    5
    四国 愛媛県 愛媛県立伊予高等学校(指揮/池田努) ※4年ぶり27回目

    3/シンフォニエッタ第5番「火焔の鳥」(福島弘和)

    四国代表の常連バンドですが、2019年を最後に全国を逃していました。池田先生は2020年同校に赴任され悲願の全国復活ですね。先生は伊予高OBでご自身も奏者として全国出場されており、母校の吹奏楽部を見事全国復活に導きました。「火焔の鳥」は福島氏のシンフォニエッタシリーズ第5弾であり、2022年の東海大高輪台高による委嘱作品。戦禍の地を舞う不死鳥をイメージした作品です。これまで金賞1回、銀賞3回、銅賞22回を受賞しています。

    6
    関西 大阪府 大阪桐蔭高等学校(指揮/梅田隆司) ※3年連続14回目

    3/ブリュッセル・レクイエム(B. アッペルモント)

    同校は1983年に前身の大阪産業大学高等学校大東校舎として開校しましたので、今年は創立40周年記念の年になります。さて、ブリュッセルでの連続爆破テロ事件を題材にした作品で初版はブラスバンドの作品でした。2019年の全国大会で11団体が演奏するなど爆発的なブームを見せましたが、今大会の高校部門では松陽・大阪桐蔭・大阪仰星の3団体がこの作品を取り上げています。1970年からの金銀銅グループ表彰制以降、関西代表から金賞が出なかったのは、74年・76年・98年・06年・22年の5回だけです。記念の年、金賞で飾りたいですね。これまで金賞5回、銀賞8回を受賞しています。

    7
    中国 島根県 出雲北陵高等学校(指揮/原田実) ※2年ぶり15回目

    1/復興(保科洋)

    昨年4月、同校を初の全国大会に導いた片寄哲夫先生が他界されました。出雲第一中、出雲吹、出雲北陵高を全国大会に導き、全国大会に20回出場された名指導者です。1991年に出雲北陵高の音楽コースと吹奏楽部創設に尽くされ、97年には同校を全国初代表に導き、2007年まで指導されました。現在の指揮の原田先生は片寄先生の教え子でもあります。「復興」はヤマハ吹奏楽団の創立50周年記念の委嘱作品。2010年の初登場から今年まで全国大会では必ず演奏団体が出ています。これまで金賞2回、銀賞5回、銅賞7回を受賞しています。

    8
    関西 大阪府 東海大学付属大阪仰星高等学校(指揮/藤本佳宏) ※3年連続4回目

    1/ブリュッセル・レクイエム(B. アッペルモント)

    激戦支部ながらも3年連続代表と、関西代表としての顔になってきました。ブリュッセルでの連続爆破テロ事件を題材にしたブラスバンド作品で、その後吹奏楽版が出版されました。2019年の全国大会で11団体が演奏するなど爆発的なブームを見せました。今大会の高校部門では松陽・大阪桐蔭・大阪仰星の3団体がこの作品を取り上げています。1970年からの金銀銅のグループ表彰制以降、関西代表から金賞が出なかったのは、1974年・1976年・1998年・2006年・2022年の5回だけです。昨年の雪辱を果たすとともに、仰星としての初金賞を期待したいですね。これまで銀賞3回を受賞しています。

    9
    九州 熊本県 玉名女子高等学校(指揮/米田真一) ※3年連続14回目

    1/クロスファイア・ノーヴェンバー22(2023年版)(樽屋雅徳)

    過去13回のうち普門館開催での4回は銅賞でしたが、2012年に名古屋が会場になってからは9大会連続オール金賞という驚異的な結果を残しています。クロス・ファイアは、1963年11月22日、当時のアメリカ大統領ケネディがパレード中に銃撃された事件をテーマにした作品です。2019年の土気シビックWOによる委嘱作品で、同年に光WOによって全国大会初演されました。玉名女子のタイトルに2023年版とついているので、同校委嘱による改訂版かなと期待しています。これまで金賞9回、銅賞4回を受賞しています。

    10
    東海 愛知県 聖カタリナ学園光ヶ丘女子高等学校(指揮/日野謙太郎) ※3年連続21回目

    1/シンフォニアより T.夜 U.ニューヨーク:ラッシュ時の地下鉄 V.上海の秋祭り W.モールス信号:完成(周天)

    昨年をもって課題曲Vが廃止され、Vを選択する常連バンドの光ヶ丘女子ですが、課題曲1で来るのは意外が感じがしました。自由曲では毎年新曲を開拓してくるところは本当に頭が下がります。中国系アメリカ人である作曲家・周天によって2022年度に発表された作品です。アメリカの複数の大学からの共同委嘱により作曲され、同年のスーザ・ABA・オストワルド作曲賞を受賞した作品です。
    これまで金賞3回、銀賞14回、銅賞3回を受賞しています。

    11
    北陸 富山県 富山県立富山商業高等学校(指揮/小西衛) ※2年ぶり33回目

    1/吹奏楽のための風景詩「陽が昇るとき」より(高昌帥)

    出場33回は高校部門歴代6位という北陸の古豪名門バンド。前回出場の2021年と同じ「陽が昇るとき」での出場です。「陽が昇るとき」は元々は別々の4団体による委嘱作品4楽曲を一つの組曲として完成させたものです。北陸大会での演奏を会場で聞かせていただきましたが、充実したトランペットセクションで課題曲・自由曲ともに存在感があったことが印象に残っています。1989年を最後に金賞からは遠ざかっています。北陸代表としても2012年の金沢桜丘以降、金賞が出ていません。これまで金賞7回、銀賞12回、銅賞4回を受賞しています。

    12
    九州 長崎県 活水中学校・高等学校(指揮/杉町たまみ) ※3年連続5回目

    1/ウインドオーケストラのためのバラッド(高昌帥)

    自由曲は西宮市吹奏楽団の創立50周年記念委嘱作品であり、架空の英雄譚のようなイメージで作曲したと高氏自身のライナーノーツに記しています。情熱的なトランペットソロから始まり、西洋舞踏の「タランテラ」と韓国伝統の「チャンダン」を交えたような躍動感ある作風が印象的です。全国大会では2015年に登場して以来6団体のみであり、この楽曲での金賞はまだありません。九州4代表のうちまだ金賞経験がない活水の初金賞を期待したいです。これまで銀賞2回、銅賞2回を受賞しています。

    13
    中国 岡山県 明誠学院高等学校(指揮/稲生健) ※3年連続13回目

    4/三つの交響的素描「海」より 風と海との対話(C.ドビュッシー/藤田玄播)

    高校部門では前半後半通じて唯一の課題曲4です。出場13回の自由曲は全て管弦楽編曲作品で、「海」は2019年以来4年ぶり2回目の選曲ですね。最近はいろんな編曲者が出てきていますが、
    70年代〜90年代にかけて管弦楽曲の編曲者といえば藤田玄播氏によるものが多かったです。明誠学院はここ最近、2018年(幻想交響曲)、2019年(海)、2022年(ロメオとジュリエット)と藤田版を取り上げてきました。今年は藤田玄播没後10年の節目にあたりますが、素晴らしい「海」を期待しています。これまで金賞1回、銀賞9回、銅賞2回を受賞しています。

    14
    東関東 千葉県 柏市立柏高等学校(指揮/緑川裕) ※3年連続33回目

    3/とこしえの声 〜いまここに立つ母の姿〜(樽屋雅徳) 

    出場33回は高校部門歴代6位。今年から指揮者が変わりました。自由曲は太平洋戦争末期の日本軍による特攻隊という戦法に散った少年たちの母親の思いがモチーフとなった作品だそうです。樽屋氏が鹿児島県南九州市にある知覧特攻平和会館を訪れた際、特攻隊戦死者の遺影や遺品、会館のある平和公園内の「とこしえの像」を見て感じた思いを込めてタイトルをつけたとのことです。昨今数多く演奏される樽屋作品としては初登場。全国大会初演となります。これまで金賞18回、銀賞13回、銅賞1回を受賞しています。

    15
    西関東 埼玉県 春日部共栄高等学校(指揮/織戸祥子) ※3年連続18回目

    1/楽劇「サロメ」より 7つのヴェールの踊り(R.シュトラウス/中村睦郎)

    西関東・埼玉御三家が登場です。いわゆる吹奏楽連盟作曲コンクール第1位作品・課題曲Vが今年から廃止になり、これまで毎回Vを選択するバンドが今年は何を選ぶのか興味がありましたが、マーチで来るとは意外でした。西関東代表がサロメを演奏するのは埼玉栄(90年・当時は関東支部)、与野(96年)の2校のみで、27年ぶりとなります。過去5回の金賞は全て普門館開催のときであり、名古屋開催になってからは金賞が出ていません。これまで金賞5回、銀賞11回、銅賞1回を受賞しています。


    ※出場回数には、招待演奏、特別演奏を含んでおりません。

     
     
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