第71回全日本吹奏楽コンクール 令和5年10月28日(土)/宇都宮市文化会館 |
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大学の部 |
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1 | 東京 東京都 創価大学パイオニア吹奏楽団(指揮/伊藤康英) ※3年連続9回目 |
2/吹奏楽のための交響詩「ゴー・フォー・ブローク」(伊藤康英) | |
米ハワイ州・ミリラニ高校吹奏楽団の委嘱作品。2000年3月1日、浜松市で開催された「パン・パシフィック・吹奏楽フェスティバル」にて伊藤氏自身の指揮・同校バンドによって初演されました。太平洋戦争の際、日系アメリカ人による100大隊、442部隊の戦いに捧げられた作品です。タイトルの「ゴー・フォー・ブローク」は、この部隊のモットーである「当たって砕けろ」に因んでいるそうです。最近の伊藤氏による「ピース、ピース〜」や「ある水筒の物語」と同様、平和を願う思いを託した作品と思います。全国大会初演となります。これまで金賞5回、銀賞3回を受賞しています。 | |
2 | 四国 徳島県 四国大学吹奏楽部(指揮/小川一彦) ※3年連続7回目 |
2/富士山ー北斎の版画に触発されて(真島俊夫) | |
2016年の初出場以来7大会連続での代表です。歴代の四国代表では最多出場になりました。富士山は相模原市民吹奏楽団の委嘱作品で2014年12月に初演されました。真島俊夫による《日本の旋法と西欧のハーモニーの融合》を具体化シリーズとして、「三つのジャポニスム」、「鳳凰が舞う」に続く作品です。葛飾北斎の「冨嶽三十六景」からインスピレーションを得て書かれました。初出場から毎回聞いていますが、年を追うごとにバンドの実力が目に見えて上がっていると感じます。まずは銀賞へのステップアップを期待したいです。これまで銅賞6回を受賞しています。 | |
3 | 北海道 函館地区 北海道教育大学函館校吹奏楽団(指揮/三笠裕也) ※3年連続28回目 |
3/エル・マー・メディテラーニ(坂本龍一/鈴木行一) | |
自由曲は「地中海のテーマ」という意味で、1992年バルセロナ五輪閉会式のために坂本龍一氏が作曲しました。坂本龍一氏は日本が世界に誇る作曲家で、1987年には「ラストエンペラー」で米アカデミー作曲賞を受賞したことでも有名ですが、今年3月28日、71歳でその生涯を終えました。コンクールにおいて坂本龍一氏の楽曲が登場するのは初、全国大会初演です。北海道代表の金賞は2001年(札幌大)に唯一あります。これまで銀賞17回、銅賞10回を受賞しています。 | |
4 | 東関東 神奈川県 神奈川大学吹奏楽部(指揮/甘粕宏和) ※3年連続50回目 |
2/パガニーニ・ロスト・イン・ウィンド(長生淳) | |
出場50回、金賞32回は大学部門では群を抜いてトップの実績。指揮者が小澤氏から甘粕氏に引き継がれたようですが、これが新生・神奈川大学のスタートでしょうか? 「パガニーニ〜」は日本を代表するサクソフォン奏者・須川展也氏の委嘱により書かれた2本のアルトサクソフォンとピアノのための楽曲が元になっています。圧倒的存在感のあるアルトサクソフォンのソロに注目です。神奈川大学としては初の長生作品になりますし、この作品は大学部門では初登場です。これまで金賞32回、銀賞10回、銅賞1回を受賞しています。 | |
5 | 中国 広島県 広島大学吹奏楽団(指揮/中村岳) ※2年ぶり14回目 |
3/ドラゴンの年(P.スパーク) | |
他支部に比べると中国支部の大学部門は広島大・山口大・川崎医療福祉大がしのぎを削っている印象で、必ずしも1団体が常勝という感じでないようです。中村氏はおそらく学生指揮かと思いますが、著名な指導者・バンドディレクターが揃う大学部門において、学生指揮の魅力を伝えてほしいと思います。昨今大流行の「ドラゴンの年」ですが、大学部門では1990年(北教大函館校)以来、33年ぶりの登場です。中国代表では2003年に広島大学が唯一の金賞を受賞しています。これまで金賞1回、銀賞3回、銅賞8回を受賞しています。 | |
6 | 東北 宮城県 東北福祉大学吹奏楽部(指揮/荒井富雄) ※3年連続14回目 |
3/交響曲第1番「巨人」より 第4楽章(G.マーラー/坂井貴祐) | |
表題のとおりマーラーが作曲した最初の交響曲。マーラー作品はあまりコンクールで聞く機会がありませんが、これまでの全国大会では1番(伊奈学園総合高、徳島市国府中)、5番(アンサンブルリベルテ、伊予高)、6番(横浜ブラスオルケスター)の5回演奏されています。「巨人」は2010年以来13年ぶりの登場です。大学部門では初登場です。東北代表による金賞は宮城教育大(83)、東北学院大(95・96年)の3回のみです。これまで銀賞10回、銅賞3回を受賞しています。 | |
7 | 東海 愛知県 愛知教育大学吹奏楽団(指揮/河田智仁) ※2年連続7回目 |
2/トリトン・エムファシス(長生淳) | |
指揮者が河田氏に交代しました。河田氏指揮による全国は2008年依頼15年ぶりでしょうか。最近ではウインドアンサンブル尾東(2021)を指揮して全国大会出場しており、3回目の全国大会となります。「トリトン・エムファシス」は、全3楽章からなる『トリトン』という作品が元になっています。文教大学の委嘱により再構成され、2012年に全国大会初演されました。「エムファシス」とは「強調する」という意味で、原曲「トリトン」をより色濃く再編したものになっています。これまで銅賞2回を受賞しています。 | |
8 | 九州 福岡県 日本経済大学吹奏楽部(指揮/柴田裕二) ※2年連続2回目 |
1/彩をえがく鳥(芳賀傑) | |
昨年の初出場からの連続代表。大学部門では唯一の課題曲1です。「彩(いろ)をえがく鳥」は、やまももシンフォニックバンドから2020年に委嘱された作品です。この作品は2022年スイスで行われたOFSI国際吹奏楽作曲コンクールにて第1位を受賞しました。このコンクールはOFSI(Orchestra di Fiati della Svizzera Italiana)というイタリア・スイスの国境にあるプロ楽団の創立30周年記念に開催され、チェザリーニが審査員長を務めました。楽曲としても芳賀作品としても全国大会初演です。これまで銀賞1回を受賞しています。 | |
9 | 西関東 埼玉県 文教大学吹奏楽部(指揮/佐川聖二) ※2年連続29回目 |
3/祝典序曲(J.イベール/天野正道) | |
祝典序曲は、1939年に皇紀2600年奉祝曲の1つとして日本政府からの委嘱によりイベールが作曲した作品です。1940年に山田耕作指揮・紀元2600年奉祝交響楽団によって世界初演されました。後に秋田南高の委嘱により吹奏楽曲への編曲がなされました。1994年に千葉市立土気中が全国大会初演を行いました。文教大学は2015年から6大会連続で金賞を受賞しています。これまで金賞20回、銀賞8回を受賞しています。 | |
10 | 九州 福岡県 福岡工業大学吹奏楽団(指揮/松井裕子) ※3年連続22回目 |
3/ルイ・ブルジョアの讃美歌による変奏曲(C.T.スミス) | |
ルイ・ブルジョワは1986年以来2回目の選曲で、前回は福工大・近畿大が共に「ルイ・ブルジョワ」の全国大会初演を行いました。アメリカ海軍バンドとその指揮者ジョン・R・ブルジョワ隊長による委嘱作品で、1984年に世界初演されました。この変奏曲に使われている讃美歌というのは「詩編旧100番」として良く知られています。2017年を最後に金賞から遠ざかっていますが、吹奏楽の魅力を余すところなく伝えられる難曲での金賞を期待したいです。これまで金賞5回、銀賞15回、銅賞1回を受賞しています。 | |
11 | 東京 東京都 東海大学吹奏楽研究会(指揮/福本信太郎) ※2年ぶり14回目 |
3/喜色満海(長生淳) | |
東京代表が2枠に戻り、東海大学も代表返り咲きです。喜色満海は「きしょくうみにみつ」と読み、「宮古島の海」をテーマで東京佼成ウインドオーケストラによる委嘱されました。2022年2月の第157回定期演奏会にて世界初演された作品です。今年3月5日の第24回響宴においても東海大によって披露されています。大学部門では金賞バンドの常連ですが、復活を金賞で飾れるでしょうか。これまで金賞8回、銀賞4回、銅賞1回を受賞しています。 | |
12 | 北陸 富山県 富山大学吹奏楽団(指揮/建部知弘) ※3年連続13回目 |
3/ゆりのねゆらり(井澗昌樹) | |
バラエティに富んだ選曲をする富山大学という印象。「ゆりのねゆらり」は2013年に作曲され、同年12月にアンサンブルリベルテ吹奏楽団・第47回定期演奏会にて初演された作品です。毎年コンクール自由曲としては2014年に盛岡吹奏楽団が取り上げましたが、9年目にして全国に初登場します。井澗作品はこれまで「ドールズ・コレクション」「バイバイ・ヴァイオレット」「カラフル」の3作品が全国大会で演奏され、それに続く4作品目で、全国大会初演になります。これまで銀賞6回、銅賞6回を受賞しています。 | |
13 | 関西 大阪府 立命館大学応援団吹奏楽部(指揮/金井信之) ※13年ぶり6回目 |
3/メトロポリス 1927(P.グレイアム/金井信之) | |
関西の代表枠が8年ぶりに2枠になった今年、代表入りしたのは13年ぶりの立命館。しかも支部大会では1位抜けでした。立命館は2015年から所属を大阪府吹奏楽連盟に移しましたので、今回は大阪代表としての全国大会となります。100年後の未来都市を描いたSF映画「メトロポリス」(1927年公開)を見たグレイアムが映画から受けたインスピレーションを作品にしたそうです。映画音楽ではなくグラハムのオリジナル作品であり、大学部門では初登場です。目下2015年から7大会連続で関西代表は金賞を受賞していますが、連続8に更新できるでしょうか。これまで銀賞5回を受賞しています。 | |
14 | 関西 大阪府 龍谷大学吹奏楽部(指揮/若林義人) ※3年連続24回目 |
3/レッドライン・タンゴ(J.マッキー) | |
関西代表が2枠になりましたが、しっかりと代表入り。レッドラインタンゴはブルックリン・フィルハーモニックの委嘱による管弦楽作品で、作曲者自身が吹奏楽版に改編したもので、マッキー氏にとっての初の吹奏楽作品でもあります。タイトルには2つの由来があり、1つ目はエンジンが最大限まで回転するという意味、2つ目は、ニューヨークを走る地下鉄のことです。曲が始まってから最後まで息をつく暇もない感覚を覚える作品です。全国大会では2008年(佐賀成章中)以来15年ぶりの登場です。目下2015年から7大会連続で関西代表は金賞を受賞していますが、連続8に更新できるでしょうか。これまで金賞13回、銀賞10回を受賞しています。 | |
15 | 東海 静岡県 静岡大学吹奏楽団(指揮/三田村健) ※3年連続20回目 |
3/交響曲第2番(長生淳) | |
自由曲は東京の一般バンド「ミュゼ・ダール吹奏楽団」による委嘱作品であり、2017年に初演された作品です。静岡大は2019年にも同じ曲で全国大会初演していますね。長生氏は5つの交響曲を書いていますが、この2番は単一楽章から成っています。不動の東海代表として連続出場していますが、残念ながら金賞は一度もありません。これまで銀賞15回、銅賞4回を受賞しています。 |