第61回全日本吹奏楽コンクール
    平成25年10月26日(土)/名古屋国際会議場センチュリーホール

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    中学・前半の部

    1東北 福島県 南相馬市立原町第一中学校 (指揮/阿部和代) ※12年ぶり6回目

    4/アルプス交響曲より (R.シュトラウス/森田一浩)

    透明感のあるクリアなサウンドが印象的。低音のビートに旋律がうまく乗っていなかったのが残念。全体的にすべっている感じになっていました。トリオは非常に美しいサウンドを聞かせました。自由曲では課題曲同様に透明感のあるサウンドを聞かせましたが、全体的に線が細く、この作品の壮大な雰囲気を出すにはもう一つといった感じでした。終始、丁寧な演奏をしていたと思いますが、場面毎のつながりが悪く、作品としての音楽の流れが良くなかったように思いました。


    2東海 静岡県 浜松市立開成中学校 (指揮/加藤幸太郎) ※初出場

    2/交響詩「モンタニャールの詩」 (J.ヴァン=デル=ロースト)

    大変美しく安定したファンファーレでした!透明感のあるサウンドと、小気味よいビートで軽快なマーチに仕上がっていたと思います。自由曲では全体の構成と流れが秀逸でした。リコーダーの四重奏はとても美しかったです。メリハリが良く、色彩豊かな演奏となり、聴衆を飽きさせませんでした。個人的には金賞でも十分と思ったバンドです。

    3九州 鹿児島県 鹿児島市立谷山中学校 (指揮/岩井田万里子) ※2年連続4回目

    4/アルプスの詩 (F.チェザリーニ)

    厚みのある安定したサウンドでした。ビートが良く響いており、ドライブ感のあるマーチになりました。強奏になってもバランスが良いですね。自由曲では良く歌い込まれていて丁寧な音楽作りでした。曲想を良くとらえた演奏で、全体の音楽の流れがスムーズです。拇当のホルンのソロ、終曲部のオーボエのソロは堂々たる出来。緩急の付け方が見事で、柔軟なアンサンブル力が素晴らしいです。ラストの盛り上がりも感動的でした。

    4関西 兵庫県 加古川市立浜の宮中学校 (指揮/中原淳子) ※2年連続6回目

    4/シンフォニエッタ第2番「祈りの鐘」  (福島弘和)

    バランスの良いサウンド。安定した伴奏群の上で、湧き上がるような旋律の歌い方が素晴らしかったです。自由曲ではステージの上手下手と下手袖と3台のチャイムを設置。立体的な効果に一役買っていました。オーボエのソロは音色・歌い方ともに中学生離れした仕上がりで秀逸。透明感のある木管群と太く輝かしい金管群にバランスの良い打楽器が加わり、素晴らしい一体感を作っています。音楽の流れも良く、終曲は圧巻の仕上がり。集中力の高い12分間で金賞でも十分と感じた演奏の一つでした。

    5北海道 札幌地区 札幌市立啓明中学校 (指揮/田中義啓) ※4年ぶり3回目

    3/ピエトロ・モンタージュ (鈴木英史)

    明るくゴージャスなサウンドで、良く整理された課題曲です。演奏にキレがあります。A.Saxソロは艶のある音と表情豊かな演奏で秀逸。後半のドライブ感も素晴らしく秀演でした。自由曲は冒頭のファンファーレが印象的で見事。全体的に優美で柔らかなサウンドを持ち、色んな表情を醸し出すアンサンブルは見事です。終曲に向かう部分ではやはり熱くなったか、強奏でバランスを崩すところも見受けられたのが残念でした。

    6西関東 山梨県 甲斐市立敷島中学校 (指揮/田中誠) ※3年ぶり7回目

    3/歌劇「トスカ」より (G.プッチーニ/鈴木英史)

    輪郭のはっきりしたクリアなサウンドで、Tuttiでもバランスを崩さず素晴らしいです。ドラムセットがノリノリで音楽をぐいぐい引っ張っていました。各パートの発音が非常にクリアで各声部が非常に聞きやすいバンドです。自由曲でも輝かしいサウンドで好演でした。音楽の流れに無理が無く、全体的に良くまとまっています。色彩豊かで伸びやかな表情を随所に見せ、感銘度の高い仕上がりだったと思います。

    7北陸 石川県 津幡町立津幡南中学校 (指揮/奥泉清人) ※初出場

    3/大いなる約束の大地〜チンギス・ハーン (鈴木英史)

    ゴージャスでキレのあるサウンド。全体的に音楽が活力があり、この曲の良さを十分に引き出していたと思います。A.Saxのソロは堅実な仕上がりでした。自由曲ではフルートが見事。中学生離れした技術と表現で存在感を示し、この曲の冒頭をしっかり飾りました。全体を通じて木管群の歌い込みが素晴らしく、艶のあるサウンドとメリハリのある構成で感銘度の高い演奏になったと思います。初出場で初金賞受賞、おめでとうございます。

    8中国 広島県 広島市立安佐中学校 (指揮/岡田正文) ※初出場

    4/吹奏楽のための風景詩「陽が昇るとき」より (高昌帥)

    クリアですっきりとしたサウンド。楽器の発音がクリアで素晴らしいです。軽快で爽快感溢れるマーチでした。トリオのピッコロソロも非常に爽快で秀逸。自由曲では一転、非常に重厚なサウンドで圧巻の仕上がりでした。「陽光の前半〜衝動〜陽光の後半」という変則的な構成で、「陽光」のフルートソロから導かれるアンサンブルは非常に美しいです。「衝動」での金管群の安定感は抜群。クラリネットの長いソロも聞かせましたしたね。ラストに向かう息の長いアンサンブルも安定しており、積極的な音楽作りが伺えました。

    9西関東 埼玉県 越谷市立北中学校 (指揮/田中秀和) ※3出休み明け4回目

    4/歌劇「トゥーランドット」より (G.プッチーニ/後藤洋)

    キレのあるシャープなサウンドながら、躍動感とドライブ感にあふれた課題曲でした。トリオの多少賑やか過ぎた感はありましたが、全体的にマーチの本質をとらえた好演だったと思います。自由曲では柔らかなサウンドで、好演でした。立体的でスケールの大きい演奏です。よく歌いこまれた表現力で、感動的な終曲になりました。

    10中国 山口県 防府市立桑山中学校 (指揮/中村武司) ※2年連続9回目

    3/セルゲイ・モンタージュ (鈴木英史)

    重厚で安定感のあるサウンドでした。大人顔負けのグルーヴ感が素晴らしく、A.Saxのソロも実に見事でした。ブラボーです。後半の一体感も見事で非常にゴージャスな演奏だったと思います。自由曲では中身のぎっしり詰まったバランスの良いサウンドが見事。メリハリ、緩急の付け方も手慣れた印象です。流暢なSaxアンサンブルが存在感を持ち、音楽全体を良く盛り上げていました。金賞に匹敵するような快演だったと思います。

    11四国 徳島県 徳島市国府中学校 (指揮/藤本澄代) ※2年連続5回目

    1/トリトン・デュアリティー (長生淳)

    輪郭のあるクリアなサウンドです。各パートが鮮明に聞こえてきて、楽曲の構成が見えるような演奏でした。強奏になるとバランスを崩すところがあり、サウンドが発散気味になるのが残念でした。自由曲では柔らかな音色としなやかなアンサンブルが印象的。音楽の流れ、スピード感が良く、作品としてのまとまりがあります。銅賞ではありましたが、個人的に印象に残っているバンドです。

    12東京 東京都 羽村市立羽村第一中学校 (指揮/玉寄勝治) ※2年ぶり7回目

    3/交響曲第3番「シンフォニー・ポエム」より  (A.ハチャトゥリアン/玉寄勝治)

    厚みのある安定感抜群のサウンドです。落ち着いた音楽運びながら、細部まで良く研究された跡が伺える演奏でした。自由曲では冒頭のファンファーレでTrpとTrbが全員スタンドプレイ。輝かしいサウンドを響かせ、視覚的にも音楽的にも魅せました。定評のある金管群だけでなく、木管群の音の厚さ、豊かさも当日随一で、パイプオルガンを思わせるような響きは秀逸です。全曲通して一糸乱れぬアンサンブルを惜しげもなく見せつけた熱演でした。3回目の金賞受賞おめでとうございます。

    13東海 長野県 長野市立裾花中学校 (指揮/山岸浩) ※2年連続3回目

    3/バレエ音楽「青銅の騎士」より (R.グリエール/石津谷治法)

    重厚ながらもキレを感じさせるサウンドが魅力的でした。自由曲では快活な音楽を披露。豊かな木管群が音楽をぐいぐい引っ張っており、丁寧なアンサンブルながらも積極性が感じられました。メリハリのある構成と、場面転換の見せ方素晴らしいです。ラストの「賛歌」は体力的にも大変だと思います。若干バランスが崩れる部分もありましたが、最後まで集中力を切らさず高らかに歌い上げたのは見事でした。初の金賞受賞おめでとうございます。

    14東関東 千葉県 松戸市立和名ヶ谷中学校 (指揮/上村二三子) ※2年連続7回目

    4/シンフォニエッタ第2番「祈りの鐘」 (福島弘和)

    早めのテンポながら、しっかりビートの感じられるマーチです。透明感のある木管群が良く旋律を歌っていましたし、ピッコロのソロも実に素晴らしい仕上がりでした。金管群のバッキングで音を止めすぎで響きを損なっていたところが残念でした。自由曲では舞台上手・下手・下手袖の3か所にチャイムを設置し、立体的な構成に一役買っていました。オーボエのソロは中学生とは思えない音色と歌い方で存在感抜群。Tuttiでもバランスが良く流れの良い音楽運びは素晴らしかったと思います。個人的には金賞でも十分と感じた演奏です。

    15東北 福島県 会津若松市立一箕中学校 (指揮/小野香織) ※初出場

    1/スペイン狂詩曲より T. 夜への前奏曲、W. 祭り (M.ラヴェル/森田一浩)

    難しい課題曲ですが、最初はエンジンがかからず、なんとなく流れにぎこちなさが残る演奏になってしまいました。全体的に木管・金管のバランスが悪かったように思います。自由曲では難しい管弦楽作品をよくまとめていました。全体的にサウンドが金管主体になっており、しなやかさに欠けたのが残念。各ソロは非常にまじめな演奏という印象で、もう一つ主張が感じられたら更に良かったと思います。


    ※出場回数には、招待演奏、特別演奏を含んでおりません。


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