第63回全日本吹奏楽コンクール
    平成27年10月25日(日)/札幌コンサートホール Kitara

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    職場一般・前半の部

    1関西 滋賀県 大津シンフォニックバンド (指揮/森島洋一) ※2年ぶり14回目

    2/復興(保科洋)

    課題曲は派手すぎず端正な演奏ですが、しっかりとしたビート感と自然な歌い方といった音楽作りに好感が持てました。しかしながら、やはり朝1番と言うハンデは否めず全体的にバンドの音が飛んでこない印象でした。自由曲では、骨太なサウンドで雄大な流れをもった音楽が素晴らしいです。しかしながら、圧倒的な説得力までには至らず、どこか消化不良を感じるような演奏に終わってしまったのが残念です。


    2東関東 千葉県 光ウィンドオーケストラ (指揮/佐藤博) ※3年連続3回目

    5/交響曲第2番「キリストの受難」(F.フェルラン)

    課題曲は冷静な音楽運びでどのパートもそつなく安定しています。トランペットのトップ奏者が、バンド全体をよく引っ張っていました。木管低音とパーカッションのアンサンブルが絶妙で光っていたところが印象に残っています。自由曲ではフリューゲルホルンのソロが大変素晴らしく期待を抱かせるスタート。オーボエの神々しいソロも印象的で音楽性の高さが垣間見えます。強奏でもバランスの良いサウンドで激戦区を抜けてきた実力の高さは本物。ただ、「アクのない」演奏なので、後はこのバンドならではの強烈な個性が加わると鬼に金棒になると感じました。

    3関西 兵庫県 宝塚市吹奏楽団 (指揮/渡辺秀之) ※3年連続9回目

    4/無伴奏ヴァイオリンの為のパルティータ第2番 ニ短調より シャコンヌ(J.S.バッハ/森田一浩)

    サウンドはおとなしめですが透明感があります。課題曲ではこの作品の持つ華やかさを表現するまでにはもう1歩という印象でした。個人的にはこのサウンドで課題曲1を聞いてみたいと思いました。自由曲はバンドのサウンドの魅力がより引き立つ選曲でした。ゆったりとしたテンポながらも音楽にしっかりとした推進力があります。個人の音、バンドのサウンドを追求された美しい仕上がりでした。

    4西関東 埼玉県 川口市・アンサンブルリベルテ吹奏楽団(指揮/福本信太郎)※5年連続19回目

    5/花鳥諷詠(長生淳)

    課題曲では難しい現代曲をを手慣れた演奏で聞かせました。音楽の流れが素晴らしく、こういった曲はお手の物という印象ですね。特にパーカッションパートのアンサンブルの素晴らしさは群を抜いていると思います。自由曲はバンドのサウンドにもっと色彩感が欲しいと感じました。課題曲との色の違いが出せず、12分間の構成としてもメリハリの感じられない演奏となってしまったのが残念です。

    5北陸 石川県 百萬石ウィンドオーケストラ(指揮/仲田守) ※2年ぶり13回目

    3/コラール前奏曲「おお、人よ、汝の罪の大いなるを嘆け」による幻想曲(伊藤康英)

    課題曲は早めのテンポ設定でしたが、音楽の作りや全体のベクトル等、よくまとまった演奏だったと思います。自由曲ではTuttiのサウンドがいまひとつまとまらず、分散気味だったのが残念です。この作品の持つ重厚さを表現するにはあと1歩という印象でした。

    6四国 高知県 鏡野吹奏楽団 (指揮/弘田靖明) ※5年連続23回目

    3/飛龍の鵠(樽屋雅徳)

    課題曲はしっかりと構成された演奏で、バランスの良いサウンド聞かせました。ダイナミクスレンジが広く音楽が立体的に表現されていました。自由曲は冒頭からアンサンブルが乱れ散漫な印象受けました。各ソロは丁寧で良い音を聞かせていましたが、全体的なまとまりが今1つと言う印象でした。

    7東海 三重県 白子ウインドシンフォニカ (指揮/宮木均) ※18年ぶり9回目

    2/シダス(T.ドス)

    課題曲では全体的にリズムが重く、パートや奏者によってテンポの感じ方が微妙にずれていたようです。ポイントポイントで歯車が噛み合わない感じで残念でした。自由曲では一転して大変素晴らしい演奏となりました。透明感のあるサウンドと伸びやかな音楽表現が合わさって、この作品の持つ魅力を十分に引き出せていたと思います。

    8中国 岡山県 倉敷市民吹奏楽団グリーンハーモニー(指揮/佐藤道郎)※2年ぶり14回目

    4/バレエ音楽「シバの女王ベルキス」より ソロモンの夢、狂宴の踊り(O.レスピーギ/木村吉宏)

    課題曲では大変ノリが良いアグレッシブなマーチとなりました。ドライブ感が素晴らしい大人の演奏でした。自由曲では重厚で色彩感豊かなサウンドを十分に堪能しました。サウンドがベルキスによくマッチしています。トランペットとトロンボーンがひな壇の上に上がらず、木管セクションと同じフロアにセッティングされていたせいでしょうか、強奏になっても分離することなく、しっかりとバンド全体にブレンドされていたように聞こえました。「狂宴の踊り」でのトランペットのソロが秀逸でした。

    9北海道 函館地区 上磯吹奏楽団 (指揮/高橋徹) ※2年ぶり4回目

    4/交響詩「モンタニャールの詩」(J.ヴァン・デル・ロースト)

    課題曲では心地よいテンポでドライブ感のあるマーチとなりました。豊かで非常に温かいサウンドはこのバンドの持ち味。多少雑然とするところもありましたが、全体的には好演だったと思います。自由曲はサウンドに重厚さも加わり、この壮大な作品を豊かに歌い上げています。強奏になってもバランスを崩すことなく、よく知ったこのホールを味方につけた演奏を披露しました。

    10東北 秋田県 大曲吹奏楽団 (指揮/小塚類) ※2年連続17回目

    3/宇宙の音楽(P.スパーク)

    課題曲では各セクションが見事に整理されていて心地良い演奏でした。この作品の持つ魅力を十分に引き出しており、改めて良い曲だと感じさせてくれました。バンドの集中力と一体感が素晴らしく、ラストのフェルマータもたっぷりととり、緊張と緩和ををうまく表現していたと思います。この日1番の「秘儀3」でした。自由曲はよく知られた作品ながら期待を裏切らない演奏。ハルモニアのカットが強引でしたが、全体的には重厚なサウンドで素晴らしい仕上がりで会場を沸かせました。2年連続7回目の金賞受賞です。

    11東京 東京都 創価グロリア吹奏楽団 (指揮/中村睦郎) ※3年連続11回目

    5/復興(保科洋)

    各パートが正確な演奏で自信に満ち溢れた音を出していました。特にファゴットの存在感は目を見張るものがありました。この難しい課題曲を実にスムーズな流れで凛とした美しさを感じることができました。自由曲ではスケールの大きい演奏を披露しました。各ソリストも秀逸で、この曲の魅力をより引き出していたと思います。隅々まで気配りされているようで、しっかりとした練習に裏付けられたクオリティの高さが秀逸でした。4年連続11回目の金賞受賞。「でれば金賞」を更新しました。

    12東北 宮城県 名取交響吹奏楽団 (指揮/楊鴻泰) ※4年連続20回目

    2/ワイン・ダーク・シー 〜ウインドアンサンブルのための交響曲〜 (J.マッキー)

    課題曲では明るいサウンドで軽快なマーチでした。一つ一つの歌い方も自然で全体の流れが素晴らしい仕上がりになっています。前半の部において、この曲の魅力をしっかりと引き出した感銘度の高い演奏の一つでした。自由曲では終始聴衆をステージに釘付けにしました。Tuttiサウンドの重厚さはもちろん、各パートのテクニカルな部分も素晴らしく、この作品の世界観が見事に表されていました。演奏後、ホールいっぱいに広がった大歓声がそれを物語っていました。3年連続6回目の金賞受賞です。

    13九州 福岡県 ブリヂストン吹奏楽団久留米 (指揮/冨田篤) ※2年ぶり42回目

    2/バレエ音楽「火の鳥」より 魔王カスチェイの凶悪な踊り、終曲(I.ストラヴィンスキー/F.フェネル)

    課題曲では骨太で重厚なサウンドでどっしりとした安定感のあるマーチになりました。同じ男性奏者のみの創価グロリアとは、サウンドの方向性が180度違うというのも興味深いです。特にブラスセクションの安定感は前半では随一ですね。「火の鳥」は、「カスチェイの凶悪な踊り」からスタート。野性味あふれるサウンドとアグレッシブな表現に魅了されました。緊張と緩和のバランスが絶妙で素晴らしい「火の鳥」を聞かせてくれました。2年ぶり31回目の金賞受賞です。




    ※出場回数には、招待演奏、特別演奏を含んでおりません。


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