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第73回全日本吹奏楽コンクール 令和7年10月26日(日)/りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 |
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職場一般・前半の部 |
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1 | 九州 福岡県 ブリヂストン吹奏楽団久留米(指揮/冨田篤) ※5年連続51回目 |
| 3/交響組曲「シェエラザード」より(N.リムスキー・コルサコフ/榛葉光治) | |
| いきなり朝一番から横綱の登場ですね。シェエラザードは全4楽章からなる組曲ですが、ブリヂストンにとっては1982年以来43年ぶりの選曲です。いろんな編曲版が演奏されていますが、榛葉版は初登場となります。この作品での金賞は1989年(永山南中)を最後に出ていません。王者ブリヂストン、朝イチ金賞となるか注目です。これまで金賞38回、銀賞8回を受賞しています。 | |
2 | 東海 愛知県 Nisshin Wind Orchestra(指揮/清野雅子) ※2年ぶり5回目 |
| 1/スペイン狂詩曲より T.夜への前奏曲 W.祭り(M.ラヴェル/森田一浩) | |
| 昨年連続出場を逃しましたが、見事復活。今年はラヴェル生誕150年のメモリアルイヤーですね。「スペイン狂詩曲」はラヴェル作品で「ダフニスとクロエ」に次ぐ演奏回数の多い作品です。職場一般では創価学会山梨(2000)、倉敷市民吹(2002)、伊奈OB(2004)、百萬石WO(2006)に次いで19年ぶりの登場です。これまで金賞1回、銀賞2回、銅賞1回を受賞しています | |
3 | 東関東 千葉県 開智アカデミックウインドオーケストラ(指揮/石田修一) ※3年連続3回目 |
| 3/黎明のエスキース(阿部勇一) | |
| 「黎明のエスキース」は2017年の大津シンフォニックバンドによる委嘱作品です。「黎明」とは「夜明け」、「エスキース」は絵画などを制作するための着想や構想、構図などを描きとめた下書きのことを言います。作者の阿部氏は 《2017年は大政奉還から150年である。無我夢中で描かれた渾身のエスキースを先人への敬意を込めて表現したい》 と語っています。指揮の石田氏は市立柏高(2019年)のときに本作品で全国出場されています。これまで金賞1回、銅賞1回を受賞しています。 | |
4 | 四国 愛媛県 藤原大征とゆかいな音楽仲間たち(指揮/藤原大征) ※5年連続12回目 |
| 3/紺碧の波濤(長生淳) | |
| 2014〜今年全て邦人作品での出場ですが、長生作品は2019年(トリトン・デュアリティ)以来2回目です。「紺碧の波濤」は2005年の創価グロリア吹奏楽団による委嘱作品です。「悲劇の英雄」をテーマにした作品だそうで、西洋音楽の手法で現代的なサウンドを成す作品ですが、「和」の随所に雰囲気がちりばめられています。四国代表の金賞は1989年(鏡野吹)の1回だけ。四国代表で2番目の金賞団体になるのはどこなのか、毎年期待しているんですが‥。これまで銀賞3回、銅賞8回を受賞しています。 | |
5 | 関西 兵庫県 西宮市吹奏楽団(指揮/小谷康夫) ※6年ぶり8回目 |
| 4/フラターニティー(T.ドゥルルイエル) | |
| 今年は西宮市市政100周年。長らく代表を逃していましたが、このタイミングで復活は見事です。フラターニティーは「友愛」という意味の言葉です。1906年の炭鉱事故を題材にした作品で、元はブラスバンド向けの楽曲でしたが、2022年に吹奏楽版として発表されました。昨年、精華女子高・福岡工業大・名取交響吹の3団体が全国大会初演し、今年は多くの団体が取り上げた中、西宮市吹と秋田山王中が全国出場を決めました。指揮の小谷氏は大阪交響楽団首席ティンパニ奏者で大阪音楽大の打楽器講師であり近大附属高も指導されています。これまで金賞6回、銀賞1回を受賞しています。 | |
6 | 北海道 空知地区 滝川吹奏楽団(指揮/鷲尾昌法) ※4年ぶり3回目 |
| 3/交響曲第5番より 第4楽章(D.ショスタコーヴィチ/M.ロジャース) | |
| 2011年以降、管弦楽編曲作品を自由曲に取り上げています。今年はショスタコーヴィチ没後50年ですが、メモリアルイヤーならではの選曲でしょうか。全国大会において交響曲第5番はショスタコーヴィチ作品の中では最も多く登場した作品ですが、職場一般部門では今回が6団体目で、12年ぶりの登場ということもあり、比較的珍しい部類の選曲かもしれません。北海道代表による金賞は2003年(ドゥ・ノール)を最後に出ていません。これまで銅賞2回を受賞しています。 | |
7 | 中国 広島県 NTT西日本中国吹奏楽クラブ(指揮/井澗昌樹) ※2年ぶり54回目 |
| 4/ドールズ・コレクションT〜おもちゃの兵隊と〜(井澗昌樹) | |
| 昨年まさかの代表落ちで驚きましたが見事復活。54回出場は全部門通じて最多出場です。金田氏が指揮者を退任され今年は新・指揮者での全国大会となります。指揮の井澗(いたに)氏は2008年の課題曲「火の断章」の作曲者であり、自由曲としても「ドールズコレクション」の他に「バイバイ・ヴァイオレット」や「カラフル」、「ゆりのねゆらり」が演奏されています。ドールズは2011年(出雲吹)以来14年ぶりの登場です。職場・一般統合後、まだ金賞受賞はありませんが、井澗氏との新しい化学反応に期待です。これまで金賞7回、銀賞28回、銅賞9回を受賞しています。 | |
8 | 九州 福岡県 春日市民吹奏楽団(指揮/八尋清繁) ※5年連続15回目 |
| 3/ファントム・ドゥ・ラムール ー幻影ー(天野正道) | |
| 昨年出場14回目で初の金賞に輝きました。喜びもひとしおだったことでしょう。これまで天野作品を14回とりあげ、そのうち8回全国大会に出場しています。おそらく今一番天野作品に通じている楽団といえるような気がします。ファントムはグラールウインドオーケストラの2007年委嘱作品であり、これまでグラールWO、市立柏高、小平第三中が選曲しています。この作品は天野氏の交響曲第1番「グラール」の第1楽章としても知られていますが、曲のタイトルはグラールの団内公募により決まったそうです。これまで金賞1回、銀賞10回、銅賞3回を受賞しています。 | |
9 | 東北 秋田県 大曲吹奏楽団(指揮/小塚類) ※3年連続24回目 |
| 4/交響曲第3番「シンフォニーポエム」(A.ハチャトゥリアン/Y.ポールセロ) | |
| シンフォニーポエムは単一楽章の作品で、1947年ロシア革命30周年記念のために書かれました。原曲は15本のトランペットファンファーレに続きパイプオルガンの超絶ソロへと続く実に情熱的で壮大な作品です。花輪高が1984年に全国大会初演し金賞を受賞したのをきっかけに吹奏楽ファンにも広く知られるようになりました。一般バンドによる演奏は今回が初です。これまでこの作品の編曲は「小林久仁郎/玉寄勝治」の二版しか登場していませんが、今回の「Y.ボールセロ」版は初登場です。どのような編曲になっているのか非常に興味深いです。これまで金賞8回、銀賞14回、銅賞1回を受賞しています。 | |
10 | 西関東 埼玉県 川越奏和奏友会吹奏楽団(指揮/佐藤正人) ※2年ぶり21回目 |
| 1/パーセルの主題による変奏曲とフーガ(B.ブリテン/佐藤正人) | |
| 昨年の雪辱を果たして代表返り咲きです。自由曲は別名《青少年のための管弦楽入門》。この作品はブリテンが1945年作曲の管弦楽曲で、乱暴に言うとオーケストラの楽器紹介のような作品です。元々はヘンリー・パーセルの《劇付随音楽アブデラザール》であり、「主題・木管合奏・金管合奏・弦楽合奏・打楽器合奏・全体合奏」で構成され各楽器が音楽を繋いでいきます。県大会・支部大会と聞きましたが非常に高い個人技が光る素晴らしい演奏でした。これまで金賞16回、銀賞4回を受賞しています。 | |
11 | 東京 東京都 創価グロリア吹奏楽団(指揮/伊藤康英) ※5年連続19回目 |
| 4/オペラ「ある水筒の物語」によるパラフレーズ(伊藤康英) | |
| 「ある水筒の物語」は、2019年5月に静岡県で初演されたばかりのオペラです。創価大学パイオニア吹奏楽団の委嘱により吹奏楽曲として再編され、同年の全国大会初演され金賞を受賞しました。このオペラは1945年の静岡大空襲でのエピソードが元になっている作品です。奇しくも今年2015年は太平洋戦争終戦80年の年。こういった作品をきっかけに戦争と平和について考えてみたいですね。これまで金賞17回、銀賞1回を受賞しています。 | |
12 | 北陸 石川県 百萬石ウィンドオーケストラ(指揮/仲田守) ※3年連続21回目 |
| 3/吹奏楽のための交響曲「ウインドウズ・アンド・ミラーズ」(B.バルメイジズ) | |
| アメリカの作曲家ブライアン・バルメイジズが2024年に作曲した新作で、「1.Common Thread、2.Reflection of the Dark、3.Window to the Soul、4.Finale」の全4楽章構成されています。全曲演奏で約30分かかる大曲です。ブライアン・バルメイジズは今年で50歳になるアメリカの作曲家。コンクール自由曲としてもたくさんの楽曲が演奏されていますが、全国大会に登場するのは今年が初になります。これまで金賞1回、銀賞7回、銅賞12回を受賞しています。 | |
13 | 東北 宮城県 名取交響吹奏楽団(指揮/宍戸篤) ※5年連続29回目 |
| 1/インヴォカシオン 〜「エル・プエルト」を元にして〜 (L.S.アラルコン) | |
| スペイン語の「インヴォカシオン」には「祈り」や「悪魔を呼び出す呪文」などの意味があるそうですが、副題の「エル・プエルト」とは港のこと。アルベニスのイベリア組曲《港》を変容した作品です。実はこの作品、名取交響吹は2021年に取りあげて東北代表を獲得したのですが、新型コロナウイルスの影響で出場を辞退することになりました。当時、会場である香川県県民ホールの客席内で録音音源を流す(審査対象外)という異例の事態となりました。2021年の悔しさを今年の演奏に込めていただきたいと思います。これまで金賞11回、銀賞14回、銅賞2回を受賞しています。 | |